イオンのトレーサビリティ・ウナギ
イオンが、2019年6月8日より新しいウナギ商品を発売したというニュースがあった。名付けて「静岡県浜名湖産うなぎ蒲焼」。
どこが新しいんや! と突っ込んだ人も多いだろう(笑)。
実は、ウナギ養殖に欠かせないシラスウナギを、正式許可を得た採捕団体が浜名湖で採捕した正規ルートで購入し、それを指定養殖業者が他のルートから仕入れたシラスウナギと混ざらないように育てたウナギだという。いわばトレーサビリティのあるウナギなのだ。ちなみに種としてはニホンウナギ。一時期増えていたヨーロッパウナギではない。
なぜこれが新商品になるのか。知っている人は知っている、ウナギは今や世界的な絶滅危惧種なのだ。それも、ほとんと日本が採りまくったせいだ。ウナギをこれほど好きで、高値で取引する国民に日本しかない。絶滅危惧されるほど減ると、より価格が上がって、それを狙って採りまくるという情けないことをしている。その中には、かなり違法性の高いものが混ざっている。
2015年漁期の場合、国内の養殖場に入ったシラスウナギは18.3トン、そのうち輸入された量が3.0トンなので、国内の採捕量は15.3トン。ところが適切な採捕と報告された量は全国総計で5.7トンにすぎない。さらに輸入された3.0トンのシラスウナギは、ほとんどが香港から。香港で採れるわけないので、台湾や中国本土から香港へと密輸された疑いが非常に強い。
こうした事実をまとめると、2015年漁期に国内の養殖池に入れられたシラスウナギ18.3トンのうち、約7割にあたる12.6トンが、密輸、密漁、無報告漁獲などの違法ウナギなのだ。
だから、今回のイオンが合法であることをトレーサビリティをつけた商品を開発したのは、大変な努力をしたことになる。おそらく日本で初めてだろう。
……とは言っても、結局は絶滅危惧されている種であることに違いはない。それに、イオンではこの商品以外にも多くの違法性の高いウナギ商品を販売している。そこで2023年までに販売するウナギを、100%トレーサビリティのあるクリーンなウナギにすると発表している。
まあ、ザル法のクリーンウッド法ででたらめし放題の木材よりましか。イオンに木材の流通も扱わせた方がいいんじゃないの。
そこで私もイオンに直行(^^;)。さて、「静岡県浜名湖産うなぎ蒲焼」は売っているか。探したのである。
だが……あったのは、鹿児島産やら愛知産やら、いかにもグレー産地ばかり。
あげくに見つけたのがこれ。
なんと! インドネシア産ではないか。ただ、下に小さくシラスウナギょき採補、養殖、加工まで一元管理しているとトレーサビリティを売り物にしている。でも、これ……インドネシアのウナギというのはビカーラ種という、また別のウナギを使っているのではないか。これまで養殖に成功していなかったウナギで、ニホンウナギやヨーロッパウナギが絶滅危惧状態になったため、新たに目をつけられて乱獲が始まっている種である。
なんかローズウッド(紫檀)が取引禁止になったから、アマゾン・ローズウッドを扱いだしたどこかの業界と似ている……。
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