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森と林業の本

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2019/06/01

草原ジャーナリストになろう

誰もおぼえていないと思うが、私はかつて「草原ジャーナリスト」だった。いや、草原ジャーナリストになろうとしていた。いつまでも森林ばかりやってられんと思ったからである(^o^)。

でも、実際に草原生態系関係の取材や勉強ばかりしていて、それは焼畑や放牧畜産にも広がっていた。また森林とつなげて林蓄複合、混牧林業なんぞもかじったのである。草原は、生物多様性の観点からは森林より一部で高いし、実は生物生産量も森林より多い可能性がある。そして草がびっしり繁っていれば土壌流出だって起きない。災害の心配は少ないのである。

ま、イマイチ広がりが足りず、仕事も草原をテーマではあまりなく……下火になったが。
しかし、その後は「土壌ジャーナリスト」にもなった。こちらは世界土壌年に合わせて1年限定だったが、草原ともつながっていた。日本列島に広く分布している黒色土、黒木ぼく土を生み出したのは、草原の野焼きではないか、と言われたからである。土壌を見れば森林も草原も海も山も、人間の生活だってわかるのだ。。。

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というわけで、前書きが長いが、
森林の国・日本で草地は10万年以上維持されてきた ―近年の草地の激減は地質学的時間スケールで大きな出来事―

という研究が発表されている。森林総研によるものだ。

ポイントとして、以下のようにまとめられている。

日本では最近100年間で草地が90%以上消失した結果、多くの草地性生物が絶滅の危機に直面
全国的な遺伝子解析の結果、日本人になじみの深い草地性植物4種は過去10万年間にわたって国内で個体数を安定的に維持してきたことが示された
近年の草地と草地性生物の減少は、千年~万年を単位とする地質学的時間スケールでも大きな出来事

大きく意外感はない。かつて草原は国土の1割以上あったとあるが、あれ、縄文時代は2~3割が草原じゃなかったの? と思ったぐらいである(2~3割というのは、私の記憶。正しいかどうかは別)。

ともあれ10万年前からというと、あまり人為とは考えづらく、気候や火山噴火のような自然要因で草原が多かったのかもしれない。だが縄文人の居住地が広がると、森を切り開き野焼き⇒焼畑を始めたから継続したのだろうか。温暖になった西日本にも落葉樹林が残る元にもなった
そして100年前から急に草原が減ったとあるが、戦前~戦争直後は、まだはげ山が多く焼畑・野焼きも盛んだったことを考えると、本当に減ったのは戦後70年くらいかもしれない。当時の造林熱が草原を奪ったのだ。

 

私も再び草原ジャーナリストをめざそうかな。森林はともかく今の林業はつまらんし。林野庁よ、どんどん皆伐を進めろ、再造林はわざと失敗しろ、あるいはしたことにして放置しろ。天然更新に挑め(失敗するから)、そうして草原を増やすことこそ、長期視点による真の国家的生物多様性維持の深慮遠謀だ! と主張しようかな。

 

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