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森と林業と田舎の本

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2019/07/22

シカは川の環境を変えるか?

かつてシカは、絶滅が心配される動物だった。ところが今やシカの増加が問題になっている。その理由の大きな点は、「シカの食欲」にある。人間のつくる田畑だけに留まらず森林まで食べ尽くす勢いだ。

シカの食欲が、農作物への被害に始まり、人工林の植林地を全滅させるケースもある。さらに進むと、原生林の植生を変えてしまうことが指摘され始める。今では、そうした天然林の変化が哺乳類や鳥類、そして昆虫などの生存を脅かしていることも指摘されだした。ほかにも菌類への影響とかの研究もあったか。

私も、シカが林床の草木を食べて蜜源をなくすことで、ミツバチが生きて行けず、養蜂をも危機に陥れている可能性を指摘した記事を書いている。

国産ハチミツが大不作。その原因を探ると意外な現象が見えてきた

そして、今度は、川の生態系も変えてしまっているんじゃないか、という研究があることを知った。

行ったのは京都大学東南アジア地域研究研究所へ特定助教中川 光さん。

京都大学芦生研究林で地元の方から「シカが川岸の植物を食べたせいで魚が減ってしまった」という話を聞き、「本当に芦生の川の魚は減っているのか?」とデータを調べ直したそうだ。

芦生研究林は大学の森というよりは、近畿地方有数の自然林として有名だろう。地元ガイドによる観光ツアーも行われている。ただ森の林床は1990年代までは多様な草木に覆われていたが、シカの食害が進んで、2006年ごろから林内の大部分の地面がむき出し状態だという。

2007年5月から11年間に調査地で観察された魚のうち13種のデータを確認すると、ウグイは最初の頃は毎回200個体近くが観察されていたのに、ここ数年は100個体も見られないようになっていた。ウグイの産卵場所は砂のない川底である。逆に砂地が好きな魚カマツカの個体数が増えていた。そして川底の環境は、大きな礫に覆われた川底がこの10年で減少して、砂地の面積が増えている傾向がみられた。

芦生研究林の川ではこの11年で川の環境が変化し、それが魚の個体数にも影響していることは間違いなさそうだ。問題は、その原因。その流域では、人間が伐採などの環境攪乱はしていない。だからシカの食べ尽くしによる林床植物の消失が、土砂の流出を増加させて調査地の川の環境が変化し、魚類の個体数にも影響を与えたのではないか?

結論としては、「川岸の草をシカが食べた」から川の魚が減った……という明確な答が出たわけではない。ただ可能性は浮かび上がったわけである。

詳しい内容は「シカの個体数増加が川の生きものに与える影響とは ? 10年におよぶ研究林の調査データから明らかにする」をお読みください。

 

私の感想は、いよいよシカは悪者になってしまうなあ……である(^^;)。ちなみに、奈良公園では、今春生まれたバンビが元気に走り回っているぞよ。

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コメント

記事の内容とはズレてしまうのですが、コメントをさせていただけると幸いでございます。

先日Yahoo!JAPANのトップニュースで田中様の「もう一つの林業・雑木林を宝の山に変える方法」という記事を拝見し、どうしてもご連絡したいと思いコメントさせていただいております。

当方、那須塩原市に長年放置しっぱなしの森林を抱えておりまして、処分しようと思い1年前程から不動産業者、太陽光発電業者、林業業者など可能性のあるところには隈なく当たっては来たのですが、全て断られてしまった次第でございます。

そんな中で先日田中様の記事を拝見し、当方の利用価値の薄い土地にも何かしらの役割があるのかもしれないと思いご連絡いたしました。

いかがでしょうか?
やはり、何かに活用するにはなかなか難しいのが現状でしょうか?

誠に勝手で恐縮ではございますが、簡単でも構いませんので何かアドバイスをいただけるとありがたい限りでございます。
何卒よろしくお願い申し上げます。

こうした内容は、メールにしていただきたいのですが……。

まず面積や地形、そして生えている樹種、樹齢(人工林なのか雑木林なのか)もわからず何かこたえることはできません。

ただ、そうした所有者が持て余している森林をなんとかしようという目的で昨年成立したのが森林経営管理法なのですから、自治体に相談してみるのも手でしょう。まだ準備のできていない市町村がほとんどだと思いますが、建前としては業者も求めない森林は自治体が預かることになっています。

お忙しい中、ご丁寧なご回答誠にありがとうございました。
また、プライベートな質問をコメント欄へ記載してしまった旨、大変申し訳ございませんでした。

「森林経営管理法」について、詳細を勉強させていただきます。
田中様のおっしゃられる通り、法案を勉強後、今後の処理の仕方について自治体に相談してみます。

非常に貴重なアドバイスをありがとうございました。

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