クマと出会えるまち
群馬県のみなかみ町を訪れていたのだが……小雨が降り、そこで案内された森は、ガスに覆われて白く染まっていた。ちょっと幻想的な風景の森を歩く。ところが……。
「いかん、クマだ」
先導してくれていた人がきびすを返す。
えっ?
思わず前進してしまう私。手にしていたカメラを構えて……いや、それはマズいだろうと気づいて、(しぶしぶ)私も引き返したのだが……。ああ、見られなかった。クマ(ツキノワグマ)、見たかった。
体長1メートルくらいのクマが道を横断していたそうだ。「こちらに気づいていないから、むしろ危険」とのことだった。
少しもどって足元を見ると、あら、足跡があるじゃないか。
ただ、別に珍しいことではないという。クマはしょっちゅう、町の中にも出没するらしい。「最近では横断歩道を渡っているよ」。
それではナラシカ(奈良のシカ)状態ではないか。人をこわがらず、でも手出しもしない状況か。近年は本当に増えたそうだ。実際、アチコチの山に「クマ注意」の看板などがある。幸いなことに人的被害は出ていない。ただ農作物などは荒らすようだし、山に入れなくなるのも困る。
いっそ、「クマに出会えるまち」を宣伝文句にしたら……と口走ってしまったが、さすがにそれはマズいな。ただクマが増えているのは間違いなさそうだ。住民はクマとのつきあい方を覚えて、なんとか棲み分けているようだ。もっとも温泉があり、登山やラフティングなどのアクティビティが豊富で訪問客も多い町だけに対策は難しいだろう。
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