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森と林業の本

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2019/07/24

3万年前の台湾にスギはあったか

国立科学博物館が主催した「3万年前の航海プロジェクト」というのがある。すてにニュースにもなったが、台湾から与那国島へ丸木舟で渡る実験航海だ。

20190724_222009

詳しくはリンクしたHPを見てもらうとして、そこで疑問なのは丸木舟が台湾でつくられたのにスギ材からつくったとされたこと。名前もスギメと名付けられたとか。

あまり詳しく舟づくりは紹介されていないのでわかりづらいが、台湾台東から石斧で伐りだしたスギの大木を石斧でくり抜いてつくったという。

Img_03 HPから借用

 

しかし、スギは日本の固有種で台湾には基本的にはない。いや、実はあるのだが、それは明治の日本人が植えたものだ。実は、先日の私の台湾行きで見てきた。これを見るのが目的だったと言っていい。

Dsc02413 Dsc02397 

これは台北南部の山中にあったスギ林。土倉龍次郎が持ち込んだとされる。ただし、写真のスギは直径40センチまでだから、明治の植林ではなかろう。一度伐って再造林したか。


一方台東の丸木舟づくりでも、一応ちらりとスギ林が写っている。それも太い。戦前に植えられたスギ林が今も残されているのだろうか。それとも丸木舟づくりは日本で行った? それを台湾まで運ぶのか?

解せないのは、国立科学博物館とあろうものが、3万年前に台湾にスギは生えていなかった、ということを知らなかったとは思いにくい。なぜスギを使ったのか。タイワンスギでもタイワンヒノキでもあるだろうに。一瞬、タイワンスギかと疑ったが、あの樹皮はやはりスギだと思うなあ。ちなみにスギは繊維が真っ直ぐで丸木舟をつくるには適していると思う。

今のところ謎だ。基本的な舟づくりに関することを詳しく発表してくれないと、プロジェクトの意義が下がると思うのだが。誰か教えてくれ。

 

 

追記・以上をアップしてから、改めて調べてみた。すると、何のことはない、丸木舟は日本で、東京でつくられたのであった。博物館内で。

この丸木は、石川県の能登半島に植えられていた「杉の木」です。NHKスペシャル「人類誕生」をご覧になった方々にお教えしますと、「番組で倒されたあの木がこれです!」。樹齢は140歳程度。直径1m、切り出して持ってきた状態での長さは7.5mの大きさでした。昨年9月に能登で行なった伐採実験で、3万年前に存在した石斧を3万6千回も振るった結果、6日目に切り倒すことができました

スギを使ってよかったのかなあ。

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