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森と林業の本

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2019/08/12

思い出す、ガダルカナル島の旅

昨夜,NHKスペシャルで「激闘ガダルカナル悲劇の指揮官」を放送していた。

南太平洋ソロモン諸島のガダルカナル島。太平洋戦争の構図が変わった南洋の島だ。日本軍が建設し完成直前の飛行場をアメリカ軍に奪われ、それを取り返そうと派遣されたのが一木支隊。先遣隊916人が1万人を超すアメリカ軍に攻撃を仕掛け、全滅した。ま、その裏で陸海軍の思惑の違い(というより足の引っ張り合い)や情報の途絶までグダグダの内実が示されるのだが……。

私がガダルカナル島を初めて訪れたのは30数年前。かつての激戦地は、現在ソロモン諸島の首都ホニアラになっている。飛行場もホニアラ国際空港だ。ここに降り立った時は、やはり感慨深いものがあった。当時はヘンダーソン飛行場と呼んだような気がする。アメリカ軍時代のままの名前である。ちょうどアメリカ軍との死闘が始まった8月だった。
これはメラネシア一人旅であり、私の目的はまったく別のところにあったのだが、否応なしに過去の戦争と向き合う旅だった。

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ガダルカナル島レッドビーチ。アメリカ軍の上陸地点。日本軍の血で赤く染まったから……と言われているが、実は血と全然関係なく、単に地点名を色で示しただけであった。だが、ここで多くの人が亡くなったのは間違いなかろう。海辺に残されていたのは、重機関銃の残骸だろうか。

ホニアラの沖合、サボ島やツラギ島の間の海は鉄底海峡と呼ばれている。当時の日本軍、アメリカ軍の船が多数沈没しているからだ。
そこをモーターカヌーで渡る際は、ちょっと緊張した。この海の下に幾多の艦船が……と、途中でエンジンが止まって遭難しかけた(^^;)。海底から呼ぶ声がしたって? そ、そんなあ……。

「日本製のエンジンなんだからお前が修理しろ」とほかの乗客から無理難題を言われたが、エンジンのプラグを外してみたら真っ黒だった。それを磨いたらなんとか火花が飛んで動き出した。今の電子制御のエンジンなら手も足も出ないが、思えば牧歌的?なエンジンであった。

当時のソロモン諸島は、独立後日は浅く、貧しいが平和であった。日本企業もそこそこ進出していた。大洋漁業の子会社ソロモンタイヨー。そして木材商社が幾つか。私は彼らのお世話になりながら旅を続けたのである。

その後2度目に訪れたときは、ホニアラも少しファッショナブルになっていて、商店が増えていた。発展しているように見えたが、実は貿易収支は赤字に転落、各国の援助漬けが始まっていた。
その後さらに経つと、民族間の争いが激化し、とうとう中国人商店街が焼き討ちされる事件が起きた。さらにニューギニアのブーゲンビル島独立紛争にも巻き込まれて治安も悪化する。日本企業も撤退が相次いだ。

幸い、現在は落ち着いたようだ。日本大使館も置かれたし、観光も盛んになっていると聞く。主にダイビングが人気だ。

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ソロモン諸島は、南洋材資源の最後の宝庫であるが、さほど量もなければ質もよくない。それに住民の所有意識が高いから、下手に伐採したら首を狩られる覚悟がいる。冗談抜きに争議が頻発する。

でも、中には黒檀の木もあるようだ。時折、黒檀による彫刻が並んでいる。街の土産物店に売りに行く島民がいるのだ。これは戦闘カヌーの舟首に掲げるものだ。
また石の像もつくられていた。こちらは西部ソロモンのムンダのもの。技術的にはさほど上手くないが、味のあるプリミティブアートだろう。ちなみに右の黒檀の首は、「ソロモンくん」と名付けている。

ソロモンに興味のある方は、拙HPの「ナンバワン、ソロモン」を見てください。

 

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