長野でお会いした人々に
次世代森林産業展2019では、多くの人に出会った。交換した名刺だけでも数十枚になる。それを整理していて、名刺ファイルを改めて購入しないといけないことに気づいた。
講演が終わってから、あるいは書籍販売ブースで声をかけてくださった方々。そこでちょっとした自己紹介と意見交換をしたわけで、それなりにためになる情報がいっぱいあった。私が紹介した「絶望」の次の「希望の林業」にすでに取り組んでいますという人もいれば、アドバイスを求められるケースもあった。皆さん、熱心だ。こうしたイベントに参加する人は、基本的に意識が高いのだろう。
ただ、ここで皆さんに感謝するだけで終わっては私らしくない? ので、あえて苦言を呈しておこう。
話した中には、宮崎の盗伐問題に言及する人が少なくなかった。講演でも触れたし、何より私がここ1~2か月、もっとも力を入れて取り組んできた報道だからだろう。なかには宮崎県から来られた方もいた。それなりに気になる情報ではあったようだ。
そこで気になるのは、みんな自分事に置き換えていないように感じた。「うちの地元では起きていない」とか、「関東が管轄なので九州のことはわからない」といった言葉ばかりが出る。自分の担当区域でなかったら平気なのか?
本気で盗伐が悪いこと、林業界にとって由々しき事態だと認識していたら、いや森林が無残な状況に陥っている点に怒りを感じていたら、自身の管轄を超えて憂慮すべきだし、自らのできることを考えるべきではないのか。本当に自身の地元で起きていないと言えるのか。単に声を上げる人がいない、上げた声を誰かが握りつぶしているからだとは想像しないのか。実は、私は未確認ながら宮崎以外の各地でも盗伐まがいのことが起きていることを耳にしている。
それとも管轄外の地域のことに口をはさんだら縦割り社会では許されない行為として追求されるのを恐れているのか? それが自身の出世や給与に響くから……?
盗伐の蔓延は、確実に宮崎県のイメージを落とし、さらに日本の林業を貶めている。世界から「そんな国」として見られるようになるだろう。それでも、「自分には関係ない」と目を背けているのか。
盗伐だけではない。日々日常の業務で環境を破壊しているケースを認識しているのか。
林業現場の安全管理がデタラメで多くの死傷者を出していることをどれだけ認識しているのか。
何の役にも立たない施策を展開して、税金を無駄遣いしていることに吾に返ることはないのか。
結局、自分が日本の森を(いや地球の環境を)守る一人なのだという意識が希薄なのではないか。自身の立場の維持と森林環境を天秤にかけ、結局は森林に目を伏せて犠牲になってもらうわけだろう。
これが、私が林業に絶望する理由の大元である。
数少ない、次世代森林産業展で撮った写真。
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