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森と林業の本

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2019/08/10

もう一つの「働き方改革」を

朝日新聞8月7日の「経済気象台」に、こんな記事が。

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このコーナーで林業を取り上げるのは稀だろうが、なかなか含蓄深い言葉が並ぶ。筆者は「第一線で活躍している外部の経済人、学者」だというが、林業についてそれなりの情報を持つ様子だ。果たして誰だろうか。

舞台は北海道のようだが、「持続的に森林を管理するのが本来の林業である。それを無視して切り尽くし、その後、同時期に同じ樹種を植えるという目先の対応のツケが回ってきた。

そして持続的な林業を行っている林業家と、彼が語ったエピソードを紹介しているが、そうした人がいかに例外的で珍しいかということを暗に語っている。

そこで働く人たちが自分の仕事に誇りを持てる働き方とは何か考える

昨今語られる「働き方改革」とは、残業を減らすなど労働条件の見直しを意味して使われている。それも大切……というより、当たり前のことだが、もう一つの働き方改革が必要ではないか。それは誇りを持てる仕事にするための働き方を模索することだ。

最近の林業を職業と関わっている人は、本当に今やっている施業方法が正しいと思っているのか。疑問は持っていないのか。持続的な森林経営になっていると言えるか。そして誇りを持っていると自信を持って他人に語れるか。

森林所有者、もしくは組織のトップに問いたいのはもちろんだが、その下で働いている人にとっても同じ。疑問を持っても下手に上司に進言して不興を買うと困る、同僚とも人間関係が悪くなる、もしかしたら給与や待遇、出世に響く……だから言われた通りにやっている……人も多いのかもしれない。あるいは「そんな難しいことは考えない。俺は木を伐るのが好きなんだ」「今儲かればいい、将来はそのときのこと」と言い聞かせて思考停止に陥っているか。
それって、自分の目先の事情のために森に犠牲になってもらう、ということだからね。そんな働き方が、果たして「誇り」になるのだろうか。

 

 

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