奈良シングル
取材帰りに生駒で行きつけのバーに入る。
「何か新しいスコッチ、ある?」
珍しくウイスキーを飲みたくなったのだ。(いつもはジン、もしくはスピリッツ系)
そこで出されたのがTOMATIN、トマーティチン・ク・ボカン。アイラではなくハイランドウイスキー。トマーティンは、スコットランドの古語で「ネズの木の茂る丘」を意味する村だとか。ロンドンの北西約900km、人口およそ500人の何もない村だそうだが、いい水があった。そしてピートもあった。この二つがウイスキーを生み出す。またク・ボカンは魔犬を意味する。
私はロックで頼んだ。
一口、二口飲む。わりとあっさりの口当たりの中に穏やかなピート臭。ふむ。こんなモルトもあったか。
が、気がついた。写真のグラスを見て、気づかないか?まだ二口、おそらくグラス5ミリ分しか飲んでいないぞ。
それにしてはたっぷりすぎないか?
「これ、水割りじゃない?」
「いえ、ロックですよ。この量は『奈良シングル』です」
マスターの説明によると、奈良のバーは、シングルと言っても通常の店より1・5倍ぐらいなみなみと接ぐそうだ。それを奈良シングルと呼ぶ。ここでは生駒シングル。さらに増量しているような……。
で、度数を聞いた。なんと46度! 通常のウイスキー(約40度)よりずっと強い。これを、奈良シングルで飲むと……。
しかし度数に比して意外なほど口当たりは優しく、全然抵抗ないのである。すいすい飲んでしまう。
奈良シングル。奈良の独り者ではなく、奈良のシングルグラス。これ、奈良のスタイルとして売り物にできないだろうか。飲んべえが集まらないか。ただし、1杯でへべれけになる可能性高し。
それで思い出した。
先日、近鉄駅前の土産物店を覗いたのだが。
買い物カゴにこれかよ。。。うむ。これも奈良スタイルだろうか。古都の情緒を求めて来る観光客は喜ぶに違いない。いっそ、スーパーマーケットもみんな、こんな買い物カゴにして奈良を盛り上げてくれ。
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