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2019/09/18

千葉大停電記事の余波と森林経営管理法

驚いたことに、昨日執筆した「千葉大停電の遠因か。倒木処理の難しさと山武杉の悲劇を振り返る」の記事のアクセス数が100万を越えたようだ。

えっ、この記事が……?と筆者の私がいうのもナンだが、意外な反響ぶり。100万を超すのは、昨年の「バカマツタケ」以来だ。

おかげで昨日・今日は、さまざまなメディアから問い合わせが相次いだよ。それなりに対応しておいたが。。。

どうも私が一義的に伝えたかった「倒木処理は簡単じゃないよ」ということより、山武杉の悲劇、つまり溝腐れ病に興味があるようだ。こちらは専門ではないのだが、知っていることを伝える。ついでに日本の林業の衰退の原因だとかも聞かれる。つい「安い外材に押され」たわけではないことを力説し、さらに国産材の質が外材よりはるかに悪いことを説明する。国産材は乾燥がなっとらん、反る、曲がる、縮むと使うとひどい目にあうんだ、と……。こちらの方に驚いてくれたら、多少とも世間の思い込みを破壊できるだろう。

 

今回の千葉の停電は、電線に引っかかった樹木を処理するのが大変なわけだが、その理由には倒木処理の技術的大変さとともに、電力会社の立ち会いがいることや所有者の了解を取り付けることの困難さの問題がある。

しかし、電力会社の立ち会いはともかく、昨年成立した森林経営管理法があるではないか? これで所有者の了解はかなりクリアできる。

森林経営管理法の中には、災害等防止措置命令」もあって、危険と判断された森林は所有者の同意がなくても、市町村が伐採などの命令を出し業者に委託できるのだ。もともと、この法律は「経営する気がない」森林所有者の山を、自治体が所有者の管理権を取り上げて他者に委託できる条文がある。地元自治体が「勧告」し、さらに知事が「裁定」して、それを決定できる。これを「見なし同意」と呼ぶが、所有権をないがしろにするという点で非常に危険度も高い。その気になれば、他人の山を勝手に伐ったり道を入れたりできるのだから。

しかし、もう一つ、緊急事態こそ使える条文もあるのだ。それが「災害等防止措置命令」だ。こちらは知事の裁定さえ抜きで市町村の首長が決められる。このままでは災害を引き起こしかねない森林の伐採や斜面の保全工事を行えるのだ。もちろん専門家の意見を聞くことなどの縛りはあるが、基本的に独断専行が可能だ。これを使えば、道路際で電柱や電線に絡みかけている樹木を伐採する「伝家の宝刀」になるのではないか。今のような緊急事態には対処しやすくなるだろう。

もちろん、危険性はより高い。他者の森林を防災の名の元に伐る乱用に陥らないように慎重になるべきだ。しかし、今のような緊急事態にはフレキシブルに使えないだろうか。

……おそらく森林経営管理法の内容を十分に理解している自治体は非常に少ない。こうした点を伝えるのもプラスではないだろうか。

20190916_073958 

千葉で見かけた電柱の設置し直し工事。

 

 

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コメント

100万突破のアクセス、先ずはおめでとうございます。
これも貴兄が日頃から万遍無く林業・木材産業をフォローしていた
事への評価だと存じます。
それにしましても、千葉行グッド・タイミングでしたね。
山武郡には東大の演習林もあり、そこの杉を扱ったのを想い出し
ました。
ずっと、ずっと昔のことですが・・・。
千葉県はかつては桧より、杉を何故か好んだと記憶しています。

千葉にとってはバッドな時期に私はグッドタイミングで訪れたわけです……。
房総半島は、ようするに関東ローム層の火山灰地ですが、そこにスギを育てようというのが結構大変な挑戦です。
ただ意外と世間の反応は、倒木処理の難しさだけでなく、山武林業というかつてのアグロフォレストリーに反応してくれています。

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