森林環境譲与税の配分
いまだ台風被害の全容はつかめていないが、今後は復興の問題も論議されていくだろう。
ちょうど先日記した「超学際的研究の時代…」とつながるところがあって、水害を自然科学的に見るだけでなく、災害許容度や災害後の復興といった社会的な面まで目を配る必要が出てくる。
そんなときにナンだが、森林環境譲与税の配分が始まっている。21年度までは、9月と翌3月の2回に分けて譲与することになっているのだ。今回は総額約100 億円(市町村約80億円、都道府県約20億円)。というわけで、9月30日に第1回目の譲与が行われた。ちなみに配分基準は、5割を私有人工林面積、3割を人口、2割を林業就業者数とするため、人口の多い(森林は少ない)都市部ほど額が多くなるという妙なことになっている。
総務省が、9月30日に森林環境譲与税を各自治体に配分した額を見ると、最も多いのは横浜市の7104万4000円、次いで浜松市の6067万1000円、 大阪市5480万3000円の順だった。一方で配分額が少なかったのは、沖縄県の渡名喜村(8000円)、北大東村(1万3000円)、粟国村(1万4000 円)。
これを2倍にしたのが、だいたい年間受け取る金額だと言ってよいだろう。ただし、当面は借入金で払っていくため、24年度からの森林環境税の徴収を始めるまでは少なめだ。さらに借り入れ分を返済(10年くらい先になる予定)し終えて満額になると、ざっと6倍ぐらいになるのではないか。つまり横浜市は約4億3000万円ぐらい。渡嘉敷村は4万8000円(^^;)。
こうした金は、森林関連につながることに使うとなっているが、実際の縛りは弱い。こじつけたら何でもOK。だから森や木に関するイベントとか木造建築にも使えるわけだ。
ならば、この譲与金を今回の災害復旧に使ってもよいのではないかと気づいた。山崩れも倒木も、みんな森林絡みだし。洪水被害だって河畔林整備とつなげられる。ちょっとした都市部を抱えているところなら数百万円はあるはず。多少とも足しにはなる。場合によっては、都市部が上流の被災した山村地域に提供する手もあるかもしれない。ま、8000円ではどうにもならないが……。
ほかにふるさと納税なども、こうした被害地が復興のために募集する手として使える。そもそもふるさと納税は、税金の配分を変えるのが趣旨であり、新たな税収アップ策ではない。言い換えると、ほかの自治体の税収をかっぱらう施策だ。泉佐野市のような理念も知恵も誇りさえないえげつない自治体が稼ぐためにある制度ではない。
被災地が利益ではなく復興のために求めるのは、趣旨に沿っているだろう。
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