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森と林業の本

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2019/10/20

タピオカからソロモン諸島を想う

いまだにタピオカドリンクは流行しているようだ。生駒駅前にも専門店がオープンした。冬を越せるか……。

Dsc02730_20191020111701台湾のタピオカミルクティ。

このタピオカ、キャッサバというイモの澱粉からつくることは知られてきた。私は、キャッサバはイモとして食べた方が美味しいと思うのだが……。というか、私はかつてキャッサバで命をつないでいた(笑)。正確にはサツマイモとキャッサバだが。

どちらも南米原産だが、南太平洋を通して東南アジアまで栽培は広がっている。私自身はソロモン諸島を旅して現地住民のところへホームステイしたいた時、毎食がこの二つのイモだった。

キャッサバイモは、皮をむかねばならない(皮にはシアン化化合物を含んでいて毒)。ただ焼くほか水にさらすと、毒は水溶性なので抜けて食べられる。タピオカは、澱粉だけを取り出したものなので安全だ。イモを焼くか蒸かして食べると淡白でさほど味がしないのだが、砕いてココナツミルクと捏ねて焼いた「キャッサバケーキ」とすると、美味い。

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キャッサバケーキ(パンケーキみたいなもの)の作り方。
1、ココナツの実の中のコプラを削って水に浸して絞るとミルク状の液体が採れる。それがココナツミルク。
2、キャッサバは、蒸したり茹でてからつぶし(写真左。おろし金でおろすこともある)て、ココナツミルクと混ぜて捏ねる。
3、それを円盤状にしてバナナの葉(鍋でもよい)に包む。
4、焚き火に放り込んで焼くか、焚き火の後の熱い地面に埋めてバナナの葉をかぶせて一晩おく。あるいは地熱の高いところに埋めて蒸かす。写真右は、サボ島の火山地帯で熱い蒸気の吹き出す地面に埋めて蒸し焼きにする様子。

当時は、こうしてつくったキャッサバケーキが主食だった。なかなか美味いのだよ。ついでにツカツクリという鳥の卵(写真中)も掘り出し(ツカツクリは地面深くに卵を産んで地熱で孵化させる)てゆで卵にする。

だから私にとってのタピオカドリンクは、回り回ってソロモン諸島の思い出につながっている。

 

そのソロモン諸島。いきなりニュースになった。南太平洋ののどかな島国のはずが、中央州のツラギ島周辺を、中国の企業に経済特区として貸し出すというのだ。ツラギ島といえば州都。それを外国企業に租借? かつての上海じゃないんだから……。

そもそも中央州はフロリダ諸島とサボ島などほんのわずかな島々で構成されている。フロリダ諸島に付属するツラギ島は、イギリス植民地時代の行政省庁が置かれたところだが、島としては極めて小さい。2平方キロしかない。かつてはガダルカナル島の州に属していたはずだが、独立した州になったらしい。

私は40年ぐらい前に訪れたのだが、殺風景な小島である。ただ日本の大洋漁業(ソロモンタイヨー)が進出していて、鰹節工場があった。沖縄人が多く働いていて、私もお邪魔した記憶がある。

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ツラギ港と、鰹節工場。

当時はソロモン諸島は独立間もない時期だったが、貧しくても貿易は黒字で堅実に国づくりを行っていた。ところが、今や援助漬けで財政危機に陥っている。ただ民族間の確執があって各島の分離指向となり、治安も悪化したようだ。オーストラリア軍が介入して治安維持をした時期もあった。すでにソロモンタイヨーは撤退している。

あげくに中国に“身売り”。。。つい最近まで台湾側を承認していたのだが、急に断交し大陸側に乗り換えたかと思えば領土を貸し出すとは、よほど切羽詰まっているのか。

日本は、ソロモンから木材を輸入している。今や南洋材(丸太)といえば、東南アジアはすっかり減って、ニューギニアとソロモンになってしまった。ほか、ダイビングツアーによる観光客が結構多く訪れているようだ。ツラギ-サボ島の周辺は、日本海軍の墓場と言われるほど多くの艦船が沈んでいるのである。だが治安が悪くなっては今後どうなるだろうか。過去の思い出の地の変貌が心に刺さる。

そんなソロモンの精霊と探検の話を知りたい方は、『森は怪しいワンダーランド』をどうぞ(^o^)。※左サイドバーにあります。

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