無料ブログはココログ

森と林業と田舎の本

« 夜の城に登る | トップページ | ブックオフの裏口で見たもの »

2019/10/25

フジイチの割り箸から多角化を考える

久しぶりの割り箸の話題(笑)。

静岡県天竜(浜松市)の株式会社フジイチという会社がつくっている割り箸をいただいた。おかげで私の割り箸コレクションが一つ増えた。

Img001_20191025214301

フジイチは、自社の山を持って森林経営をしつつ、製材も行っている会社だが、業務の中で割り箸づくりまでしていた。天竜杉の割り箸である。たしか地元の廃業した製箸業者を買い取って復活させたのではなかったか。

今回いただいたのは割り箸と言っても最初から分離しているタイプで、吉野ではシースワロー(現はるか)という会社が開発した「明日香」という種類だったと記憶する。ちょっと普通の割り箸より薄手だが、割り箸として使用に問題はないだろう。木目も細かい。多くが柾目で見た目も美しい。

……と、私の中の「割り箸評論家」成分がうずく(笑)。

最近は割り箸の話題がいまいち出てこない。外食店に入っても、当たり前のように樹脂箸(プラスチック箸)が出てきて割り箸はこちらから注文してもあったりなかったり。しかし、あらためて国産割り箸について考えてほしい。

割り箸の消費量・生産量とも、このところ激減している。ピーク時(約10年前)は年間250億膳を消費と言われたが、近年は180億膳ぐらいだろう。それは外食産業の縮小とともに、樹脂箸が普及したからである。そして割り箸も大半が輸入であり、国産は数%にすぎない。

しかし樹脂箸は、結局洗浄や乾燥に労力とエネルギーを使うので経費は決して安くならないし、従業員の労働強化にもつながる。だいたい営業用樹脂箸は約1年で廃棄されるが、石油製品であるプラスチックは環境にもよろしくない。それを「環境のため割り箸をやめました」なんて表示するのは、ごまかしもよいところだろう。

その点割り箸は、いずれも製材端材(背板)や小径木間伐材、あるいはほかに使い道のない樹種の木材を利用してつくるから木材の有効利用と言えるだろう。林業の末端を支えている存在だ。ただし、価格はどうしても1膳5円くらいになる。中国産が1円前後であるのだから太刀打ちできない。ちなみに中国産を中心とした輸入割り箸は、木製より竹製が増えている。たしかに竹は成長は早いが、すぐにカビが生えるので防腐剤を浸透させている。あまり口に運ぶものとして嬉しくないだろう。

使えない端材、小径木等を割り箸に加工することで価値を付けることは、林業全体に寄与する。なんとか国産割り箸をもっと普及させられないかと気を揉んでいるのだが……。

ただ割り箸製造だけで経営するのは難しいだろう。割り箸は自動化が難しく人手がいるし、専業だと材料の調達から販売まで、不確定要素が多すぎる。いかに他の業態と組み合わせるかが課題だ。その点、フジイチは森林~製材と組み合わせているのだから有利だろう。本当は、ここに消費先としての外食産業も入っていたらベストなのだが。

専業では難しいという点は林業も同じで、スギやヒノキの原木を出すだけでは経営の安定は難しい。需要も価格も乱高下するからだ。森林経営も多角化、生産も多様化しないと落ち着かない。さまざまな木材を生産しつつ、その木材の商品化も多様化する。さらに森林も多様な利用を考えて幅広く収入源にする必要がある。そう考えると、割り箸は林業の縮図なのだ。

国産割りの需要が伸びないのも、国産材の需要が伸びないのも、社会が目先の利益ばかりを追い、環境をないがしろにする構造だからではないか。国産を排除する「絶望」的な状況に取り巻かれているからだろうか。

 

 

« 夜の城に登る | トップページ | ブックオフの裏口で見たもの »

割り箸」カテゴリの記事

コメント

すみません。
この前の投稿で、どんどん指摘してくださいと言われたので、調子に乗って、最後の文末に「な」が抜けていると思います。「からのか」→「からなのか」

 林業木材業6次化から10次化へ?でしょうか?

く、悔しいので「だろうか」にしました(笑)。ま、どんどん修正を加えることが可能なのがブログのよいところ(開き直り)。

合わせて、爪楊枝もお願い致します。私の愛用している物は、材料白樺で甘い味がします。

国産爪楊枝をつくっているメーカーは、一つくらいしかないんですねえ。あえて参入する価値、あるかも。

安全・安心・良品ならば、一膳5円でも問題なし、というユーザーはいくらでもいると思うのですが、ユーザーはメーカを知らないし、メーカーはどこにそんなユーザがいるのか知らない。林業の産物って、そういうのが多いような気がします。

消費者には、5円ぐらい平気な人も多いですよ。
レストランとしても、多分1か月の負担は1000円程度のはず。樹脂箸の経費と比べたらもっと安くなるかもしれない。
ただ大手外食チェーンなどは、年間数千万円の負担だ!と叫んで削減しようとするんですね。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 夜の城に登る | トップページ | ブックオフの裏口で見たもの »

July 2020
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

森と林業と田舎