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2019/10/16

釜石のスタジアムの木製座席

ラグビー・ワールドカップの釜石会場は、岩手県釜石市の釜石鵜住居復興スタジアム。ウノスタと呼ぶそうたが、国内で唯一、今回のワールドカップのために新設されたそうだ。

ここで13日に開かれる予定だったカナダ-ナミビア戦は、台風19号接近のため中止になった。その後、カナダ代表が被災地でボランティア活動を、ナミビア代表も宮古市でファン交流会を開いたことで話題になったが、もう一つ別の話題も紹介しておこう。

会場となったウノスタの座席4990席は、木製だったのだ。さらにベンチ108基、トイレ2棟、日よけのためのルーバーも木製。ほかにも使い捨ての木皿などもつくったという。使われたのは約800本。

しかも、ただの木材ではない。そこで使われた木材は2年前に釜石市内の尾崎半島で起きた400ヘクタールにも及ぶ山火事によって焼けたものだった。ウノスタで使われた木材すべてを被災スギで賄った。
木製の座席は暑い日も温度か上がりにくく座りやすく、見た目も美しい。考えてみれば、火災に遭ったと言っても芯まで燃えた樹木ばかりではない。内部は十分使える木材もある。それを「焼けた杉」と悪いイメージになるのをひっくり返したわけだ。そもそも「焼き杉」は古来からの加工方法。表面を焦がして腐朽しづらくする手法でもあり、木材の質を上げるのだ。

思えば2011年東日本大震災で釜石は、大津波によって甚大な被害を受けた。その中でほとんどの小中学生は助かった「釜石の奇跡」と呼ばれる事象もあったが、スタジアム建設はある意味復興のシンボルだった。ここに釜石の木を使う計画を進めていた。その最中に山火事が起きたのである。だが、山火事による焼けたスギを建設中のスタジアムに活かすことを提案、実行したわけだ。

その立役者は、やはり釜石地方森林組合だろう。震災では事務所も職員多数も失われたが、そこからの復興途上である。そこに起きた山火事だが、それを逆手にとったわけだ。

この森林組合は、震災後林業スクールを開いたほか、バイオマス燃材の利益から基金を立ち上げ、伐採跡地への再造林費用を補助する民間の補助制度もつくっている。そして山火事の後にスタジアムの木製座席を生み出した。今回の3回目の被災ともいうべき台風の後に何を生み出すか、私は楽しみにしている。

 

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