木でない木目のデザイン
最近の建築は木質化ブームが起きているらしい。
一方で建築家は木造がダイキライ! という声も聞こえる。なぜなら木材のような性能がはっきり読めない素材は使いにくいからだ。木材と言っても樹種に加えて生育による差もあるし、加工方法によっても変わるし、まあ重力計算などを必要とする建築にはいかにも使いにくいから。
で、見かけたのがこれ。これは、某店舗の壁。
見た目漆喰か? と思わせて、よく見ると木目が描かれている。別に色は木材ぽくないのだから、木肌ぽく見せようとしたわけではないのだろうが、あくまで木目なのである。転写したのか、印刷したのか。ちゃんと凸凹もあって、触ってみると本物ぽい。
木に見せかけるのではなく、木のデザインを借用する……というわけ。ここまで来たか、と思わせたのであった。
でも結局、本当の木材を知らない、というより使いたくない建築家にとっては、コッチの方向に行くのだろう。すでに木肌・木目を印刷したり真似た合成樹脂建材も多い。それでも、まだ木に見せかけようというところには「木質はよい」と思いがあるようだが、ここまで来ると木質ではないことを主張しつつ、木目模様が美しいから取り入れた、という感覚だろうか。
危うし、木質ブーム。本当の木の魅力とは何か、を追求しないとまがい物に乗っ取られるぞ。
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