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2019/10/07

NHK番組を見て飢えるナラシカの将来を想像した

昨夜のNHK「ダーウィンがきた!」では、「奈良ならでは!古都のシカ 命つなぐ戦い」をやっていた。これはナラシカ(奈良の鹿)を取り上げた動物ドキュメンタリー。奈良公園で人と交わりながら生きるシカをテーマにした記録だ。メスを巡るオスの争いや、立派な角が危険すぎるので切り落とす「角きり」などを紹介していく。

その中で一部ひっかかった点。

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まず、夜も森に帰らないナラシカがいることの紹介。本来なら昼間は公園や寺社の境内など芝生が広がる街に出て草をついばみ、夜は背後の春日山の森に帰る。ところが最近は、夜でも街の中で過ごし、夜も餌を探しているところを描いていた。
たしかに餌も探しているだろうが、そもそも街の中で寝るようになったことが重要だ。安全を求めて森に帰らなくても公園内でも十分安全と感じだしたのかもしれないし、時間感覚を失いだしたともいえる。ようはシカの生態が変わってきたことに注目すべきだろう。

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ただ、餌不足問題は大きい。番組でも木の皮や落葉を食べる様子を映し出していたが、これは末期的である。あきらかに食べるものが足りない。なにしろ奈良公園内だけで1300頭を越え、春日山などを加えたら2000頭を越えるシカが生息するのだ。生息密度は自然界の100倍以上だろう。それに比して餌となる植物(主に芝なと草類)が足りないのは事実である。だから公園から飛び出し周辺の農地を荒らすことも起こすのだ。

この点を私も昨年、Yahoo!ニュースで「奈良の鹿は栄養失調?鹿せんべい食えたらイイわけじゃない」として記事にしている。
この時は、だったら餌を人間がやれ、という問題じゃない、餌を与えたら野生ではなくなるし、より生息数を増えて問題を大きくすると記したつもりだが、多くのコメントや反応は「栄養のある鹿せんべいを開発して与えろ」だった。。。

より問題なのは、増えすぎたシカの食欲が農地を荒らすだけでなく春日山の植生を壊していることだ。春日山は原生林であることが価値で天然記念物であり世界遺産でもあるのだが、どんどん植生が劣化している。次世代の稚樹が食われてしまって老木ばかりになっているうえ、シカの食べないアセビやナギ、それにナンキンハゼばかりが繁茂するようになってきた。

かといって、「それではナラシカの個体数調整(ようするに駆除)しよう」いうのも困る。あくまでナラシカは天然記念物であり、神鹿として宗教的に1000年以上守ってきた生き物であり、今や観光資源であり奈良のシンボルなのだから。

こうした点を昨年出版した『鹿と日本人 野生との共生1000年の知恵』で考察したわけである。

私も考えた。考えて考えて、悩んで出した結論としては「ナラシカはこのまま保護し続ける」である。ただし、餌の給餌などは一切しない。簡単に言えば飢えてもよしとする。それも自然の営みである。そうすることによって、個体サイズは小さくなる現象も起きているし、自然淘汰を受けやすくなる。
一方で、春日山などの植生が荒れる点も享受しなければならない。完全に植生を保護しようとすることに無理がある。そもそもシカのいる森は、どこでも植生被害を受けるのだ。春日山も戦前は荒れ放題だった。結局、長い歴史の中では「豊かな自然」というものが本来の自然ではない、と気づいたのだ。常に自然界にはストレスが存在して、多少は傷みつつ存在するものなのだ。

ただし、森林の一部を柵で囲って、鹿の入れないエリアで現植生を守る。さもないと絶滅種を出して生物多様性を失われてしまう。いつか自然現象としてナラシカが減ったときに、再び植生を広げることに期待したい。それが精一杯の人間のできる「保護」ではないか。

今後、ナラシカはどうなるだろうか。草の餌が足りなくなって飢えたら、高い木の枝を食べようと首を伸ばすかもしれない。首が長いシカが生き延びて、そのうち首の長いシカばかりになる。ナラシカがナラキリンになってしまう。さらに木登りして高木の枝葉をむしりだすかもしれないし、木の幹をボリボリかじりだすかも。もしかしてに昆虫を食べて動物性タンパク質によって栄養つけるとか、池に飛び込んでサカナを食う、いやいやイヌやネコを襲って食べだすかもしれんよ。狩猟を覚えたら、次は芝を栽培し始めて農耕を行うかな。。。とまあ、そんなアホな想像も頭に浮かんだが、動物は環境に適応して生態を少しずつ変え、形態を変え、それが進化につながるものだよ(⌒ー⌒)。

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