針葉樹材を黒檀のように?スイスで発明された木材
ちょっと気になるニュースがある。スイスで木材をプレスして、エボニー(黒檀)の材質に似せる技術が生み出されたというのだ。
生まれた木材をsonowood(ソノウッド)と呼ぶ。
黒壇は、黒光りして堅いから家具や木彫などに用いられるが、熱帯地域にしか生育せず、しかも過剰伐採・採取が続いたからほとんど絶滅危惧種だ。ワシントン条約で取引規制が行われていて、輸入時には申告が必要だ。
黒檀は、とくに音の伝導に優れており良質なバイオリンの指板に向いているという。そのほかアクセサリーや高級時計にも使われる。だから黒檀に似た材質の木材を人工的につくれるとなれば、飛びつく人々がいるだろう。
さて製造は、スイス連邦工科大学チューリヒ校とSwiss Wood Solutionsが開発した。スイス産のカエデとトウヒ材を圧縮し、エボニーに似た材質を作る方法を開発したというのだ。具体的には、スイス連邦材料試験研究所(EMPA)に設置された巨大なプレス機で、特定の楽器作りに最適になるよう、木材の密度と音の伝わり方を微調整するという。
実際、楽器製作者は黒檀をなかなか手に入れることができず、最高級のバイオリンほかの楽器の材料に困っているのだ。この木材を使って作られた楽器をプロの音楽家が使ったところ、本物を使ったものと同じくらい良いと高い評価を得たらしい。演奏家の感想として「トロピカルウッドの指板よりも音が暖かく、よりオープンです」という言葉が紹介されている。
もっとも、1立方メートル当たりの生産コストは20万フラン(約2200万円)! 輸入木材の10倍。それでも2年先まで予約はいっぱい……。
こんな内容だ。もっと突っ込んで製造法を知りたいところだが、ちゃんと記されていない。わずかに「前処理された木材をプレスにかける」といった言葉が読み取れる。この前処理とは?
イマイチ、わからん。単にプレスしただけでは、そんな材質の変成を起こせない。圧縮木材は時間とともに元にもどるため、それを抑えようとすると樹脂注入などが必要になる。そこに「添加物を含まない」「プラスチック、樹脂は含まない」などと書かれると、正体不明だ。加熱などもしたのか。いや前処理という言葉があるが、そこで薬品を使っていないのか。
スイス語(ドイツ語)のHPを自動翻訳にかけてみると、こんな言葉が。
熱帯木材の非常に価値のある物理機械的特性を実現する高品質の材料。
ソノウッドはプラスチック複合材ではなく、添加物を含まない本物の100%天然木。
生分解性で、プラスチック、樹脂、人工着色料は一切含まれていません。
そして熱帯木材の代替などは、私が紹介してきたケボニー化木材とよく似た発想である。こちらは針葉樹材を広葉樹材のようにする、というキャッチフレーズで紹介したが、天然性樹脂の注入によって行う(フラン樹脂化)。ではソノウッドはいかなるものか?
もうちょっと科学的な説明が欲しいなあ。
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