森林環境譲与税が来年度より満額?
森林環境譲与税の内容が少し変わることになりそうである。
ちとややこしいが、現在の森林環境譲与税は、24年度から徴収(住民一人1000円)するはずの森林環境税を財源にして5年間は借入金として地方に分配されている。だから、24年度以降は返済もしなければならない。つまり森林環境税を満額(約600億円)もらえるのはずっと後、30年ごろになるはずだった。(それまでの5年間は毎年200億~300億円ぐらい。)
ところが、来年度の与党税制改正大綱に、森林環境譲与税の見直しが記載されたのである。
大綱では、譲与税の原資に「地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金を活用することができる」という。なんのことかと思うが、地方公共団体金融機構とは何か。大雑把に言えば、昔の財政投融資(郵便貯金資金の横流し。大雑把すぎ?)と同じような役割のためつくられた組織で、一般担保付債券を発行(全額が地方債計画だから、結局国が出すんだな)し、貸付及び資金調達、地方公共団体の資金調達支援、公庫債権の管理を担う。リーマンショック時に地方救済などに動いた資金源だ。
その中の準備金を森林環境譲与税に回すことにするというのである。償還分に置き換えると最大で1300億円が充当される計算だというから、ほぼ借入分を充当することになる。ということは、来年度の譲与税は600億円近くになるということ?
もちろん与党案だが、野党がそんなに反対するとは思えず、大枠は通るのではなかろうか。みんな森林には優しい、いや、甘いからなあ。放蕩息子に借金して贅沢させる親みたい。
なぜ、こんなに森林環境譲与税を優遇するのかと言えば、地方にもっと金をばらまきたいから……。というと怒る人もいるだろうが、名目的に言えば台風19号など水害が相次いだから、森林保全のために使える譲与税を早期に満額配分ができるようにという配慮(これ、財務省ではなく総務省マター)らしい。
なるほど、東日本の災害の場合は、西日本大水害の時より優遇されるんだね、と皮肉も言いたくなるが……。
横浜市など大都市は、いきなり毎年5億円譲与されてどうするんだろう。木造ビルでも建てるか。
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