「森林と生活に関する世論調査」結果を読む
内閣府が行った「森林と生活に関する世論調査」の結果が公表されている。
これは1989年から行われている調査で、今回は6回目。森林の果たす役割や木材利用の是非などを質問して得られた結果だ。(複数の選択肢を選ぶ形で、約1550人から回答) 全部目を通すのは面倒だから、概要だけにしておく。
設問および回答を読んでいると、誘導しやすい方向なんかもかいま見えて、と突っ込みたい思いが……〇△あるが、ぐっと堪えておく。せっかくだから、いくつか紹介しよう。
農山村定住の意向
農山村に定住してみたいと思うか聞いたところ、「定住してみたい」とする者の割合が20.8%(「定住してみたい」8.6%+「どちらかといえば定住してみたい」12.2%)、「定住してみたくない」とする者の割合が62.7%(「どちらかといえば定住してみたくない」23.9%+「定住してみたくない」38.8%)、「既に定住している」と答えた者の割合が14.1%となっている。
都市規模別に見ると、「定住してみたくない」とする者の割合は大都市、中都市で、「既に定住している」と答えた者の割合は小都市、町村で、それぞれ高くなっている。
もっとも「農山村での森林浴や景観を楽しみたい」と答えたのは約85%と、あくまでお客さんでいたいわけか。就労に関しては、農業が半数を占めるが、林業は1割以下(^^;)。
森林との関わり方の意向
日常の生活の中で、森林でどのようなことを行いたいか聞いたところ、「心身の健康づくりのため森林内の散策やウォーキング」を挙げた者の割合が60.2%と最も高く、以下、「森林の中でのランニングや自転車による走行」(26.9%)、「森林の中での音楽鑑賞及び芸術鑑賞などの文化的活動」(22.6%)、「森林の中で自然を活用した保育・幼児教育」(21.3%)などの順となっている。なお、「特にない」と答えた者の割合が19.2%となっている。(複数回答、上位4項目)
都市規模別に見ると、「心身の健康づくりのため森林内の散策やウォーキング」を挙げた者の割合は大都市で、「森林の中での音楽鑑賞及び芸術鑑賞などの文化的活動」を挙げた者の割合は中都市で、それぞれ高くなっている。
こんな項目もある。
傾斜が急で道から遠い人工林の木材の生産、その後の植林や手入れ
植林されて50年以上が経過した傾斜が急で道から遠い人工林について、木材の生産、その後の植林や、間伐などの手入れをどのように行うべきだと思うか聞いたところ、「木材の生産、植林及び手入れを行うべきである」と答えた者の割合が42.4%、「木材の生産のみを行い、植林及び手入れは行うべきではない」と答えた者の割合が8.5%、「木材の生産及び植林は行わず、手入れのみ行うべきである」と答えた者の割合が28.5%、「木材の生産、植林及び手入れは行うべきではない」と答えた者の割合が10.0%となっている。なお、「わからない」と答えた者の割合が10.6%となっている。
植林も手入れもいらない、というのは、今ある木を伐って、あとは放置で天然林にもどせ、という意味だろうか。すべてを行うな、という答も1割あるが。
こんな木嫌いな理由もあるぜ。
木材を利用すべきではないと思う理由
様々な建物や製品に木材を「どちらかといえば利用すべきではない」、「あまり利用すべきではない」と答えた者(119人)に、利用すべきではないと思う理由は何か聞いたところ、「森林破壊につながる印象があるため」を挙げた者の割合が63.0%と最も高く、以下、「火に弱い印象があるため」(35.3%)、「地震に弱い印象があるため」(30.3%)、「劣化しやすい印象があるため」(24.4%)、「価格が高い印象があるため」(15.1%)などの順となっている。
私的に意外だったのは、森林認証材を意識する、と答えたのが34,4%もあったことかな。本当かあ?
まあ、こうした世論調査結果を眺めて、国民の意識を脳内で咀嚼することも有意義だと思うよ。
« 生駒駅前書店の奇跡(笑) | トップページ | ダークサイド「Forest Style ネットワーク」に堕ちたい »
「政策・行政関係」カテゴリの記事
- 林業機械に林業3原則を植え付けろ!(2025.03.10)
- モクレポに見る木材輸入額推移(2025.03.03)
- 木材輸出に関する林野庁の政策(2025.02.16)
- 食品等流通法はエガリム2法に近づけるか(2025.02.05)
- 南三陸の林業地が自然共生サイトになった(2025.02.01)
« 生駒駅前書店の奇跡(笑) | トップページ | ダークサイド「Forest Style ネットワーク」に堕ちたい »
コメント