台湾林業の夜明け……
昨夜に続いて、今夜も広島なのだが、こちらの内容は置いておいて、再び龍次郎の残した写真より。
これは台湾らしい。そしてこれは苗床だろう。植えてあるのはスギか。
龍次郎は、1895年末に台湾に渡って、1899年に1万町歩の山林を300年間租借して、そこで林業を始める。具体的には、天然林を伐採して、それらの木(とくに楠から樟脳を採取して)を販売するとともに、跡地に植林を行った。これが台湾にとって初めての育成林業となる。つまり台湾の近代林業のスタートだ。
龍次郎は、15ヘクタールもの苗畑をつくって植える苗を育てたという。吉野のスギ、ヒノキのほかにも多くの樹種を試験したと伝えられている。その現場を示す写真となるに違いない。……写っている人物は誰かわからないが、日本人だろうか。それにしても大苗だな。こんなに大きくしてから植えるのか? 台湾ならではの実験かもしれない。
せっかくだから、こんな写真も。
「北蕃人之骨棚」と書いてあるのかな。そう、ドクラじゃなく、ドクロが並んでいる。北蕃人とは、先住民のアタイヤル族だろうか。当時は、まさに首狩りがまだ行われていたし、それらの首を誇る、アニミズム的な習慣があったのだろう。
「龍次郎は蕃人の尊敬を集めていた」という記述もあるが、ときおり土倉事務所も襲われたらしい。そして何人も首を狩られた。首がなくて遺体の名前がわからなくて困った、という記録もある。
そんな世界で、林業は始まったのだ。
« 新しい「絶望の林業」ポップ | トップページ | 蔦屋家電から考えたこと »
「土倉家の人々」カテゴリの記事
- カーネーションは国産?海外産?(2022.05.10)
- 新島八重の子ども? (2022.05.05)
- 津田梅子と土倉政子の接点(2022.04.23)
- 毎日新聞奈良県版に書評!(2022.01.27)
- 「土倉家の先祖は山賊」?(2022.01.15)
コメント