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2020/02/20

「樹木採取権」から「立木法」を思い出す

林野庁が、「樹木採取権」のガイドラインについてのパブリックコメントを募集し始めた。

樹木採取権制度ガイドライン(案)への意見・情報の募集について

樹木採取権についてはいまさら説明はいらないだろうが、昨年成立した国有林管理経営法改正にともなって生まれた制度と概念だ。「国有林材の一部について、現行の入札に加え、一定の区域(樹木採取区)において、一定期間・安定的に樹木を採取できる樹木採取権制度を創設」とある。それを実施するに当たってのガイドラインをつくったわけだ。それに対するパブコメである。

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で、私も勉強しようと思ったわけですよ。ガイドラインというより、樹木採取権そのものを。

とりあえず概要に目を通す。……わからん。というよりめんどくさい。国有林だから国に所有権のある土地で、その上に育つ立木を概ね10年間の間に伐らせるわけだから、所有権の移転をせずに権利を与えなくてはならないという理屈はあるのだが、無理やり感が漂っている。

この際、法律的な位置づけはおいといて、立木を伐る権利とは何かという根本を考えてしまう。そこで思い出したのが立木法である。

 

吉野林業で行われている「立木一代限り」という伝統的な権利を法的に認めるために「立木法」(立木ニ関スル法律、明治42年法律第22号) が設けられた。土地ではなく立木を所有する権利で、登記もできる。立木を不動産のように扱うことができ、樹木を財産とできたのである。土地と分離して譲渡したり、抵当権を設定したりできる。土地所有権または地上権を処分しても、その効力は登記を受けた立木に及ばない。

だからゴルフ場反対運動の際には、「立ち木トラスト」として土地ではなく立木を反対者に分散して売り払い、事実上土地の開発を不可能にする作戦が取られた。いくらディベロッパーが山林(土地)を買い占めても、その上にある樹木に手を出せなくてはゴルフ場の建設は不可能だからである。

ただし、その立木一代の間なので、その木がなくなったら(伐るか、枯れるか)消滅する。その点で、山林所有者にとっては安心できる。

 

今回も新たに樹木採取権なんてのを設けなくても立木法を援用か改正する手もあったのではないか、と思ったのである。もっとも国有林担当者も立木法の存在を知らなかった可能性はあるかもしれない。だいたい国有林に立木法を設定したら、ヤバイことになるか。

最近、訳あって土地利用の法的な事例についての勉強をしているのだが、土地の利用を制限したり規制する条文はいっぱいあるが、同時に抜け道もいろいろあることを知った。たとえば放棄農地を山林として見なすとか、宅地の地目を農地に変えてしまうとか、その気になればできるらしい。ただほとんど眠っている方法なり条文なのである。

もう少し行政も運用を風通しよくすれば、あの手この手でできることはいろいろある。「法解釈を変える」のは、現政権の得意技だし。

 

 

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