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森と林業の本

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2020/02/06

Y!ニュース「先読み・植林面積世界一……」を書いた裏事情

Yahoo!ニュース「先読み・植林面積世界一。中国は巨大な木材輸出国になる!」を執筆しました。

まあ、以前より温めていたネタを整理してみたもの。頭の中でさまざまな情報整理をしながら将来を考えていると、中国が日本の後追いをしていることに気づいた。というのは、大造林政策を行い、木材輸入を拡大し、気がついたら森林は飽和し、木材蓄積は莫大。そして高齢化の進展、少子化からの人口減少、木材需要の縮小。。。

日本が歩んだ道を中国もなぞっているわけだ。否応なしに中国が輸入国から輸出国に転換するという予想が出た。

では、なぜ今書いたか。武漢型肺炎(私の命名)の話題ばかりで多分注目されないだろうな、と思いつつ。。。

実はYahoo!ニュースも、毎月何本か書かないと、ペナルティはないけど、忘れられてしまうからね(⌒ー⌒)。最初のころは月に4本だったのが、3本になり2本になってきている。すると自分自身の心構えが消えてしまう。

というわけで、頭の隅にため込んでいたネタを放出しているのである(^o^)。オイオイ

それにしても、この手の「中国が世界一」というフレーズを記すと、内容関係なしに「また未知のウイルスをばらまくぞ」とか「悪逆非道な中国ガー」とか、ネトウヨが湧いてくるのはなんとかならんか。

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コメント

面白い視点の記事ありがとうございます。現在の中国はおよそ8,000万m3の素材生産量がありますが、そのうち4,500万m3がユーカリ、1,500万m3くらいがポプラで早生広葉樹が6割以上、残りもほとんどが針葉樹人工林からの出材です。ユーカリ植林会社の経営に携わってましたが、半数を占めるユーカリについては惨憺たる状況です。樹齢5年のユーカリを末口8cmから合板原料として工場着100$/m3以上で売れますが、5年前くらいからどこも赤字で産業として成り立っておりません。他樹種もその多くを市場原理に委ねられた投資活動が原資になっていることで、最低でもあと20年は外来の針葉樹を頼ることは間違いないです。

なお、文中で指摘されているコウヨウザンの蓄積はどんどん減少しています。全体的な木材生産を目的とした植林の9割はより短期間で収益が(以前は)期待できた早生広葉樹で、福建、江西、広東などのコウヨウザンは15年前くらいからどんどんユーカリに置き換わってしまいました。植えられたユーカリの大部分は数種類のクローンしかなく、それら全てがパルプ生産効率を重視して開発されたクローンです。現在多くは合板原料となっていますが、太くならないように開発されたため5,6年過ぎると成長量が落ち太くならないため伐期を延ばすことが現実的でない状況です。

ご専門というか、中国の植林の当事者ですか(^^;)。
ユーカリの材質は用材としては使えんとは聞いているのですが、そんな状態ですか。しかし5年生の末口8センチを合板用とは……。それでも赤字 (゚o゚;) 。
でもアスペンは意外やよい集成材になるようです。

コウヨウザンは日本では早生樹種扱いで期待されていますが、中国ではユーカリに置き換わる?

現場は悪戦苦闘しているんですね。勉強になりました。

コウヨウザンがここ15年でユーカリに置き換わった理由は主に2つあります。

ひとつ目は伐期がコウヨウザン20年、ユーカリ5年と4分の1であること。利息が4-5%、インフレが進む中国では非常に大きなインパクトです。経営母体が早くキャッシュが欲しい農家の場合は尚更ですね。

2つ目は3年目まで毎年1株1株肥料をあげ、除草することができるほど人件費が安かったこと。ユーカリのMAIはうまくいけば18-20m3/ha/年いきます。手をかけて早く育てて早く切ることで収益を最大化できたことが背景としてありました。

ここ15年で人件費は5倍以上となり人もいなくなりました。全く状況は変わっています。日本の50年間のユーカリ植林地の多くは赤字でなかなか切り出せない山も増えてきました。コウヨウザンも末口20cmくらいで150$/m3程度の価格で市場で売られていますが、資源が減っており生産林から保全林への指定が増加しています。

シナリオとすると30年後くらいに長伐期化、機械化されたコウヨウザンの素材生産が増えてくるかもしれません。それにしても欧州、北米、NZの針葉樹にはコストで全く歯が立ちませんね。

中国は日本以上に目先の利益で林業やってることがわかります(^^;)。そして人件費の高騰も。
日本の林業労働者は、いまだに低賃金のまま。安売り国産材を支えているのは、人件費安も一つですから。そのうち日本人が中国でユーカリの世話して稼ぐ時代が来るんじゃないか……。

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