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森と林業の本

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2020/02/09

『絶望の林業』改訂に寄せて

『絶望の林業』版元より、そろそろ次の重版の可能性が出てきたので用意するように、という厳命が下った。

Photo_20200209171401

そんでもって、ボチボチと見直しを行っているのだが、このところ読者からメール等で間違いの指摘が次々と行われている。それがかなり専門的なのである。木材の乾燥における細胞とかセメントの硬化とか、詳しく知らない点で不用意な表現をしていると、「そこ、オカシイ」とツッこまれるのである。

いやあ、こういうのは有り難い。私も詳しくない分野では資料を読んで安易に理解して記すことがあるわけだが、それが正確ではないこともあるだろう。そこを指摘してくださることについては感謝しているのである。ま、そんな細かいこと言わんでもという気持ちがなくはない……いや、感謝しているのである! ありがとう!!!と何度繰り返してもいい。どんどんお願いします(^^;)。 

もっとも、そうした好意的な指摘とは違って、書評とかネット上では、実につまらんツッコミがある。たとえば自身が林業関係の仕事をしている上で、自らが希望を持って取り組む方策とかルーティンな仕事を否定的に記されたからと噛みついてくる輩もいるわけだ。そうした場合は、基本的に無視することにしている。くだらねえから。

ただ難癖付けたくて重箱の隅をつついたり、見当違いの文句も少なくない。ときに「自分は林業に詳しくないので、ここに記されていることが本当かどうかわからないが」みたいな、知らなかったら書くなよ、とコッチが突っ込みたくなるような文言もある。すると「反論の余地を与えない」のがケシカラン的なトンチンカンな言い分まで出てくる。

そして明確な間違いを見つけられなかったからなのか、「情報源がどこか記していない」というアホな指摘も多い。だから本当かどうかわからない、検証できない、と言いたいらしい。

こうした批判的な問題提起をするのに、情報源の秘匿は絶対だ。それとも、どこそこの地域の、役所とか森林組合とか林業事業体のどんな役職に就いている誰それ……とまで記してほしいのかね。そんなことしたら当の本人がいかなる目に合うか想像してほしい。おそらく当事者は「そんなこと言っていない!」と必死に否定するのか関の山だろうが……。
それに30年近くの取材の中で目にしたり聞き止めた発言や事象・事件・事故をここでバクロすることに意味はない。事例は事例であり、そこから導き出される内容に関して論評をすべきだろう。

なんだか、とにかく不愉快だから腐してやろうみたいな反応がわいてくるのは、いわゆる「グレタ症候群」に近いのだろうか。

ちなみによいケースの場合は名前を出すことも考えたが、それはそれで想定外のハレーションを起こす可能性もあるし、よほど公の事実とか近々の取材で記しても大丈夫と思える場合以外は、やはり匿名にしている。

私もそれなりに情報を扱う仕事をしている中で、そうした可能性には慎重に対処している。まあ、そういいつつ炎上覚悟であえて記すこともあるけど(^^;)。それは私が一手に責任を負う覚悟で書いているのである。

わかったかな?

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コメント

去年、絶望の林業を読みました。
それから田中さんのネット記事などを読んでいますが、最近の成長産業論は、どの分野でもまやかしのように思います。

ところで、絶望の林業の感想を書かれた人のサイトがありました。林業に詳しい方のサイトのようなので、よかったらご覧ください。

http://jsfmf.net/kokunai/zetsubo/zetsubo.html

ありがとうございます。チェック済みですが、なんだか、こうした指摘が増えてきています(笑)。
でも情報源の秘匿は絶対だって。安易に誰がどんな発言をしたと紹介するのはタブーです。地域を書くだけでも特定されるケースは多いですよ。田舎では。

こんにちは。
長年この業界にいますのでよくわかります。
この本の内容の細かいことは、別としてほとんど真実だと思います。
生々しくよくぞここまで書いてくれたととても関心してしまいます。
こんな本過去に前例がないのではないでしょうか。
こういった生々しい現状に真摯に向き合わない役人、補助金にドブ漬けになって自立できない森林組合をはじめとした業界、山に関心がない森林所有者等少しずつでも変わっていかなければ日本の林業はますます破綻の道にまっしぐらです。
私は、本業の傍ら先祖から受け継いだ山を一人親方で長年手入れしていますが、森林所有者自らがやるのと他人がやるのでは山への愛情の注ぎ方が全く違うものです。
自伐型林業が広がることも悪いことではないと思いますが、広めるには、メリットばかり宣伝するのでなく、熟練が必要なことや常に危険と隣り合わせ、儲からないこと、重労働だから山が本当に好きじゃないと長続きしないこと等デメリットもちゃんと宣伝していかないと真の自伐林業家は増えていかないと思います。
そんな中、林業のIT化が広がることを期待しつつ、後継者のために私もやれることを取り組んで行ければと思っています。

ありがとうございます。
この本を書いて、林業界とはオサラバか、と思っていましたが、意外と音無しの構えですね(^^;)。
自伐型林業をやっている人の話も聞きましたが、ちょっと危なかっしいですねえ。

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