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2020/03/05

食料と木材の自給率を上げる方法

日本の食料自給率が低いことはよく知られている。18年度で過去最低の37%である。だから国内農業が大切だ、という論法になっているのだが、少し風向きが変わりそうだ。

というのは、農林水産省は次年度「食料・農業・ 農村基本計画」から新たな計算方式を使った食料自給率の計算をして目標値も決める方針を明らかにしたからだ。

具体的には、輸入飼料を使って生産した畜産物を全て「国産」とカウントする

これは何を意味するか。まず現在の食料自給率という数値は、通常カロリーベースなのだ。ただ、そこで畜産などの餌がどこの産物かをこだわる。輸入飼料を使っている場合は、畜産物は国産とならないのである。だから畜産物の自給率はたった15%(飼料自給率は 25%)である。個別品目だと牛肉の自給率は11%だ。和牛がどんなに増えても国産とカウントされない。豚肉は6%、鶏卵も12%にすぎない。

Photo_20200305115701

だが、飼料にこだわらなくなると、一気に自給率は上がる。全体で46%になる。ちなみに牛肉は43%、豚肉は48%、鶏卵に至っては96%に跳ね上がる。

一方で生産額ベースの自給率もあるが、18年度は66%。それが飼料にこだわらないと69%になる。

なぜ変えるのか。これまでは「農業を振興しないと食料安保が心配」だと感じさせるために、わざと?低くなるような計算式を使っていたのだが、さすがに頑張っても自給率が上がらないので操作する?いや、一応畜産業の「規模を正しく把握する」(農水省幹部)との狙いだそうである。それにしてもカロリーベースに生産額ともに2種類の計算をして、目標値を出すというのは煩雑すぎないか。

ちなみに食料自給率が低いから輸入が止まったら大変と言われるが、多分日本人は飢えないだろう。食品ロスが生産量の約半分を占めるからだ。飢える前にロス分を消費すれば、自給率は2倍になる。


思えば木材自給率も上げようと頑張っている。ちょうど現在は36・6%と約20年前の2倍になった。この数字は食料自給率と並んでいるのだが、これも数年前にバイオマス燃料もカウントするように計算式を変えたおかげだ。もっとも、今後はバイオマス燃料も増える一方だから、このままでは下がってしまうだろう。それともPKS(ヤシ殻)は木材ではないと外してくるか。それでも木質ペレットの輸入も増えているから、下げてしまうだろう。

2018

そこで提案だが、木材自給率からパルプチップを外せばよいのでないか。一緒にバイオマス燃料も外してもよい。紙や燃料にする原料は木材じゃない、とか言って、建築用材だけをカウントすればよい。すると60%はいくのではないか。製材は減っているが、合板は堅調だし、まだまだ国産建材が強いから、自給率は高く見せられる。

統計なんてちょろい。少し扱う数字を操作すれば、すぐに上下させられる。そして林業の「規模を正しく把握する」ためと宣言すればよいのである。

 

 

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政策・行政関係」カテゴリの記事

コメント

全く仰る通り、統計にしろアンケートの設問にしても、恣意的に扱うことで結果も見栄えは変ります。
要は誰が何のために作っているかを見極める眼
が必要なことは当然として、そこにジャーナリスト
としての存在感があると愚考します。

私は、数字を読み解くのは苦手ですけどね。読者のリテラシーも必要だし、何より当局が「今年度より計算方法を変えました」という告知をちゃんとしてもらわないと。また、導かれた数字をいかに政策に反映させているかも示されないと、科学的判断無視で政策決定しているようでは。。。
じわじわと、政府の統計に関する信頼度が落ちていくように思います。

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