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森と林業と田舎の本

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2020/03/06

養蜂業界が生き残るためのブランディングを考える

先日、玉川大学のミツバチ科学研究会で講演を行ったが、その主催者からハチミツが送られてきた。

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なんと5種類も! なかにはニセアカシアのほかケンポナシ、ハゼリソウなど珍しい花の蜜もある。さらに玉川大学内や山梨県で採れた、さまざまな花の蜜が混ざった百花蜜も。感謝感激だ。

さっそく味わう。すべての封を切ったわけではないが、ケンポナシの蜜は、なんというか、爽やか。通常ハチミツは濃厚な甘さが売り物だが、そこに爽やかさが加わる。なんでもケンポナシのエキスは二日酔いに効くと言うから、このハチミツにも効能を期待したい。

ニセアカシアは比較的淡白で食べやすい。百花蜜は、採蜜した地域でそれぞれ味が違う。その地域に咲いていた花が変わり混ざる蜜も変化するからだろう。香りとコクが微妙な違いを感じる。この香りはハゼリソウか、いやこちらの香りかも。と想像しても楽しめる。いや~ハチミツの世界は奥深い。

 

日本の養蜂業界は、現在厳しい局面に置かれている。とくに問題は蜜源が減ってきたことだろう。農業の衰退とも関わるが、蜜源がなくてはミツバチも生きていけない、ハチミツが採れない養蜂家も食べていけない……のだ。そして農地に撒かれる農薬の問題。ミツバチにつくダニの発生などもあるし、世界的に問題となっている謎の大量死と群崩壊現象。気象変動もヤバイ……あああ、養蜂は先行き不透明だ。

さらに後継者不足も深刻だ。加えて基本的にきつい肉体労働だし、蜜は採れたり採れなかったり自然に左右され収入も不安定になりがちだ。採蜜と並ぶポリネーション(交配)の仕事もあるが、これも農家の都合に左右されるだろう。

ただ、私に言わせれば、林業よりは将来性がある(笑)。

何より養蜂家個々人の腕と努力に左右される面が大きい。それに1年ごとに状況は変わる。今年は不作でも来年は多くの花が咲くかもしれない。そして蜜もポリネーションも食べ物が対象だから人々の関心も高い。業界全体が沈滞していて、個人の努力では如何ともしがたい面が強い林業より見通しがつく。

まず考えるべきは、出口戦略だ。養蜂家自身のハチミツの売り方に工夫の余地があると思う。単に仲買業者に卸すだけでは、結局は量の世界に陥る。外国から大量の安いハチミツが輸入されているのだから太刀打ちできない。引きずられて安価になりがちだ。もっと各人が工夫して採取したハチミツの付加価値を高められないか。

たとえば北海道の中川町のケースとして聞いたのだが、町で蕎麦栽培が盛んになったためハチミツにも蕎麦の蜜と花粉が混じるようになったそうだ。すると価格がガタンと落ちてしまい、養蜂家が生活できなくなった……という。日本では蕎麦のハチミツ好まれない。

だが、この話を聞いて私は逆のことを思った。たしかに蕎麦蜜はクセはあるし、蕎麦アレルギーの人には危険だが、世界的には人気のあるハチミツなのである。フランスなどでは高級品扱いのはず。それを卸し業者に任せておくから、安物にされてしまう。もっと蕎麦蜜としてブランディングすれば、むしろ高く売れるのではないか。

同じく、私は地元・生駒山で採れるソヨゴのハチミツが好みである。照葉樹のソヨゴは、最近増えてきた。しかし世間ではソヨゴ蜜は安く買いたたかれているらしい。これもブランディングの仕方がよろしくないのではないか。

ほかにも以前いただいたクマザサ味のハチミツとか、今回のケンポナシとか、希少な蜜をそれなりに活かしたブランディングを行い直販方式で扱えば、利益率を高められるだろう。

実は、これこそセイヨウミツバチの特徴なのだ。日本在来のニホンミツバチは、採取する花を選ばず、ごった煮的に集めてくる。だから百花蜜という言い方をするのだが、ようはさまざまな花の蜜が混ざっているから特徴を出しにくい。その点セイヨウミツバチは、採取する花を決めたら集中して集める。だから花の特徴をハチミツに出せるのだ。しかも採蜜力はニホンミツバチの十数倍にもなる。 

レンゲ、トチ、アザミ、ミカン、サクラ……その蜜の味の特徴を十分に世間に知らしめて、ソムリエのごとく紹介すれば人気を呼ぶだろう。サクラの香り、ミカンの香りのするハチミツの優雅さを知ってほしい。

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蜜源も、農地の作物の花に頼ると、農薬問題が発生する。しかし樹木の花なら農薬を散布される可能性は低い。もっと地域と一体化して蜜源植物を育てられないか。今、各地でサクラの里づくりが行われているが、それと養蜂を組み合わせる仕掛けも考えられる。

さらにミツバチに花粉を運んでもらうポリネーションも、有機農法などと結びつけてブランディングすれば、無農薬栽培を支えているハチミツとして価値を高められるはず。あるいは、よりシステマティックにビジネス化すればハチミツ生産と区別して交配産業と位置づけることも可能だろう。

さらに花粉や蜜蝋、ロイヤルゼリー、プロポリス……と多様な商品化のチャンスが眠っている。

……そんな夢想をしていると、なんだ、結局はほかの産業(とくに林業)と同じだと気づく。流通を見直して無駄を排除し、商品の多様化を図り、広報戦略をしっかりして、ブランディングで価値を高める出口戦略で生産者にちゃんと利益が確保する道筋をつけることが大切なのだ。つまりビジネスの基本をしっかり押さえて展開すれば、養蜂は多くの可能性に満ちた産業になるだろう。

いっそ私も養蜂ジャーナリストと名乗ろうかな(⌒ー⌒)。

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コメント

ケンポナシ抽出物はロッテのガムのフラボノに入ってますね。

ガムに? それは初耳です。ロッテのガムも二日酔いに効くのかも……。
しかし、そのケンポナシ抽出物は、どこで仕入れているのでしょう。相当大量に安定供給されないといけないはずだから。海外にはケンポナシがメジャーなのか……。いろいろ考えてしまいます。

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