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森と林業と田舎の本

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2020/03/23

オーストラリア 巨岩のロストワールド…「聖地」がある意義

NHKプレミアムの『ワイルドライフ』で「オーストラリア巨石のロストワールド 未知の生命を発見せよ!」を見た。

いやあ、驚いたわ。こんな世界があるなんて。

オーストラリアのヨーク半島に、不思議な巨石の山がある。サバンナの林に囲まれて、巨石が積み上がっているのだ。登るのは不可能。一枚岩ならともかく、一つが10メートルを越す岩がゴロゴロ、スキマだらけなのだ。ところが、その山の台地状の山頂(直径3キロほど)の窪みには、熱帯雨林が広がっている。そこにヘリコプターで調査隊が着陸して、未知の動物を探す……という話。

20200323_205414 周辺の岩

20200323_205457 台地上の森林

なんとも不思議な世界。周りは乾燥しているうえに岩だらけでスキマの底はどこにあるかわからない(試みに潜った日本人は、30メートル下っても底に着かなかったそう)というのに、湿潤酷暑のジャングルがあり泉までわいて池があるのだ。誕生して2億8000万年、周りから孤絶して少なくても数千万年だという。

なんかコナン・ドイルの「ロストワールド」と設定が似ている。

たった3日間の調査で、トカゲ、ヘビ、ヤモリ、カエルなどの爬虫類、両生類、それにクモや昆虫の新種がわんさか見つかるのだ。哺乳類はネズミ類が見つかった。世界最大級の巨大クモ、オタマジャクシにならないカエル……奇妙奇天烈である。植物も調べたら新種だらけだろうな。

なぜ、こんな地形地質になったのか、気候が湿潤なのか……などは番組に任せるとして、ここが人の手が入らず守られたのは、もちろん周辺数十キロが車もなかなか入れられない場所で、山にも登れないという物理的な地形が大きいのだが、重要なのはアボリジニーの聖地であること。昔から近づいてはイケナイ場所だったのだ。今回もアボリジニーの許可をもらって72時間だけの滞在だった。

聖地という概念がなぜ生まれたか、その効用は何か……と思わず考えてしまう。聖地には人為を精神的に拒否する力がある。

今の日本では、聖地をパワースポットとか言い換えて人々が殺到するのだけど、もっとタブーとしての聖地は必要ではないか。さしづめ天皇陵などはそれに近いだろうが、もともと人工物だからな……。しかし人工林の中の巨木は、もともと育てて伐るために植えたはずなのに聖的な価値を持って伐りにくくなってしまう。

この「聖地」の概念を突き詰めたら、新しい土地の概念が生み出せそうと思うのだが……。

日本にも、あるかもしれないよ。聖地・ロストワールドが。

※3月30日、再放送予定。

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コメント

確かに奥深い問題だろうと思います。
一神教の神がすべてを造たもうものでは在り得ない世界ですが、何処にでも神の存在を肯定する概念では、人の立ち入ることのできない聖地の存在は成り立つと思います。
何を聖地とするかは別にして、17~19世紀に地球上を植物ハンターが、未知の植物を探し歩き回った後も、狭いスポットでは未知の地があるのかもしれません。

物理的な秘境と、精神的な聖地が合わさると、なんかすごい世界になりそう。でも、もし身近に発見されたら、掟を破って入りたがる人が殺到しそうな予感が……(笑)。いっそ「たたり」がある森がいいかもですね。病原菌がうようよいる森とか。

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