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森と林業の本

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2020/03/26

奈良護国神社の境内林

奈良護国神社を訪れた。あまり知られていないが、若草山から見渡せる位置にあり、山辺の道の近くだ。その社殿はかなり立派。そして敷地は数ヘクタールと広くはないが、森に覆われている。しかも境内とその周辺には5つもの古墳がある。さらに壊したものが9つもあるというのだから、古墳の上に建てられたと行っても過言ではない。

護国神社というとおり、明治以降の戦争で亡くなった「英霊」を祀るために設けられたものだが、意外と歴史は浅く昭和17年に創建されたらしい。そして奈良歩兵138連隊はインパール作戦の主軸だったらしく、悲惨な状況にあったようである。

さて、なぜ訪れたか。実は英霊とは何の関係もない。関係のあるのは明治神宮の森なのである。明治神宮は、来年100年を迎える。この森が人工的に造成された森であることは知られているが、そのために全国から献木を求め、勤労奉仕で植えられたのである。ところが同じく神社造営のためにつくられた人工の森として、この奈良護国神社の名が上がっていた。それは見ておかねば……と思った次第。

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訪れてみると、サクラの蕾が膨らんでいた。サクラの名所でもあるらしい。そして……境内の森は、なかなえこんもりと繁っているのだが、やけにツバキが多い。献椿の碑まであったところを見ると、ツバキを多く植林されたらしい。

しかし……何か違和感。この境内林の内部を見てほしい。写真ではあまり伝わらないかもしれないが。。。。

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こんもり繁っているが、自然界ではこんな配置で樹木は生えないだろう、と感じてしまったのだ。ヒノキの脇にツバキがお成し間隔で並んでいたり、大樹とその下の低木のバランスが悪かったり……。

ツバキを献納する人が多かったこともあるのだろうが、やっぱり人為的なものを感じると、森は不自然となる。いっぱい苗木を植えて、その後放置して勝手に育ってくれれば森になるよ、というほど単純なものではない。樹木自体は育っても、森林生態系になりきっていない。地表部に草があまり生えていないのも気になるところ。

そう考えると明治神宮の森は、見事な森林生態系をつくっている。やはり本多清六を始めとする森林の設計者が偉大だったんだな、と思わざるを得ない。

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