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森と林業の本

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2020/03/12

生駒市にバイオマス発電所建設計画!

昨日は、生駒山にできたメガソーラー計画を記したが、なんと生駒市にはバイオマス発電所計画があるという。その説明会が開かれたらしい。

私は、日本でもっとも木質バイオマス発電を批判している一人である。山ほど記事を書いてきた。

今すぐ読めるネット系の記事を並べるだけでも、Yahoo!ニュースには

バイオマス発電の輸入燃料が急増。日本の電力料金の海外流出は増えるばかり

パーム油燃やすバイオマス発電の異常

本末転倒の巨大バイオマス発電所の建設が進む

バイオマス発電が世界遺産を破壊する

国産の紙おびやかすバイオマス発電

ドイツのFITが変わった! バイオマス発電は小型に限る

誰がバイオマス発電を推進しているのか

木質バイオマス発電は林業を救う?それとも破壊する?

「里山資本主義」は可能? バイオマス発電の虚実

探せばまだあると思う。ほか、BLOGOSにも書いている。

そして書籍では『絶望の林業』でも、もっとも長い章が「再生不可能なバイオマス発電」だ。また2005年発行の『だれが日本の「森」を殺すのか』でも、バイオマス発電が上手く行かないことを記した。まだ日本にバイオマス発電所が一つもない時期だが、すでに怪しげだった。

ともかく、そんな私の住む町にバイオマス発電所が建設される?

まだ内容はよくわからない。ただ仮称が北田原発電所だから、北田原(生駒市北部の農地と工業団地が混ざった地帯)に建設するつもりなのだろう。発電規模は9900キロワット級。なんと年間9万トンの木材を燃料とするという。これが、どれほどの量かわかっているのか。奈良県の木材生産量は年間18万立方メートル。ざっと10万トンだ。それを全部食ってしまう。もっとも、現在は大淀町に一基あり、さらに五条市でも建設中だから、木材は余っていない。しかし、使うのは「未利用材」と「生駒市内で発生する木質廃棄物」だという。

生駒市内で発生するのは、剪定枝なんてわずかだし、木質廃棄物もしれている。また当然ながら生駒市は内陸都市なので、海外からの輸入燃料(木質ペレットやPKS)は使えないだろう。港で陸揚げしてトラックに積み替えて……としたらコストが跳ね上がる。ならば何を燃料とするのか。おそらく産廃、建築廃材しかない。ちなみにFITで買い上げる価格は、未利用材は32円/kWだが、廃材では13円である。しかも、この値段は今後どんどん下がる予定だ。もし廃材を未利用材と偽れば詐欺行為である。割高な電力料金を払わされているのだ。しかも有毒ガスを排出する可能性もある。ま、みんなやっているが。

では、どこが、この計画を進めているのだろう。それはわからないが、現在生駒山の大阪側にある発電所がBPS大東という会社だから、ここが増設する形で行うのではないか。しかし、この会社、ようは産廃会社だ。わざと周辺に丸太を積んであるが、本当にそれらを燃料にしているのか怪しい。量が全然足りないのだ。“見せ丸太”だろう。

7_20200312230001 BPS大東の発電所

親会社は都市樹木再生センターという名で街路樹などの剪定木を処理しているのだが、それを発電にも使っているという。が、馬鹿げた言いぐさだ。仮に街路樹1本から10キロの剪定枝が出るとしても、1万トン集めようとしたら1000万本必要となる。BPS大東は約6万トンの燃料を必要としているはずだが、それなら6000万本。そこに9万トン級の発電施設を稼働させたらプラス9000万本だ。日本中の街路樹を全部集めてもこんな本数ない。公園木だってない。

しかし、いまだにバイオマス発電所が環境に優しいと思っている人が多いのに驚く。少しは勉強してもらいたい。ちなみに生駒市長は環境省出身者だが、本気でこんな計画を認可するつもりなのだろうか。

ともあれ、いかなる計画か、今後も注視していきたい。

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