謎の感染症の秘密?「特効薬コードKUJIRA」
コロナ感染症が流行る中で、思い出した小説がある。ところが、そのタイトルも著者も思い出さない。しかも短編だからどの本に収録されているかもわからない。とにかく相当昔に読んだのだ。記憶にあるのは、ストーリーと著者の相当若い時期の作品であること、解説が筒井康隆であったこと……ぐらいだ。
それを、ようやく書庫から見つけ出した。そこで紹介したいのだが……。
その前に、COVID-19に関する私の思いと疑問を記しておこう。世界的に感染に広がる中で、私が注目していたのは感染者数ではなく、死亡者数である。致死率でもない。なぜなら感染者数は、検査数によって変わるし、そもそも感染の定義が各国バラバラだから。中国などは無症状者はカウントしていなかったりする。その点、死亡者数は大きくぶれないはず。ただ率にすると母数の感染者数に左右されるから信用できない。そこで国ごとの人口の違いを補正する意味で、100万人当たりの死亡者数に重きを置くべきだと考える。
すると、日本がダントツに低いのだ。たしか、まだ1人に達していないはず。ほかの国と比べると圧倒的に少ない。それが謎だ。BCG接種仮説が出てくるのもそのためだろう。それでも同じBCGをした国とも差がつく。
こうした疑問を持っているからこそ、この小説を思い出したのだ。
その本は、『美琴姫様騒動始末』(結城恭介著)に収録されていた「特効薬コードKUJIRA」である。所出は1985年の「小説新潮」2月号。
まず最初に、日本の捕鯨を巡る状況が紹介されている。反捕鯨国から攻められている様子だ。
その上で、大変な奇病が発生する。一応、ニューモンド症候群と名付けられたが、その症状たるやすさまじい。その部分を。
身体が腐っていくうえに、致死率は極めて高い。そして特効薬は見つからないのだが……唯一、喫煙者は病状の進行が遅い。その点を記すと、
しかも日本人はほとんどかからなかった。それが謎とされて解明が急がれたのだが……ここでネタばれをしてしまうが、数十年も前の本だからゆるしておくれ。
なんと、クジラの肉を食べていると予防できるのだ。日本人はほとんどが給食などで鯨肉を食べている。だから!
かくして禁煙も反捕鯨も吹っ飛んでしまうのである。みんな競ってヘビースモーカーになり、クジラを食べるのだ。
まあ、小説のオチはまた別にあるので、全部ネタばれさせたわけではないが、お分かりのように世間の健康だとか環境だとかの風潮を皮肉ったわけだ。
さてCOVID-19、新型コロナウイルスに対する特効薬はないだろうか。日本人の死亡者が少ないネタが日常生活に眠っているかもしれない。私は鯨肉をバクバク食べているから安心なのだが(違)、たとえばスギ花粉をよく吸い込んでいるとコロナウイルスが体内で増殖しないとかv(^0^)。スギは日本の固有種だからねえ。
ちなみに作者の結城恭介氏が、この小説を書いたのは19歳である。18歳の高校生の時に書いた小説が小説新潮新人賞を受賞してデビューしている。その後も出版数は少ないのだが、今も健在。主にラノベを執筆し、さらに最近はオンライン小説に軸足を移しているようだ。
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