山を買うと何が起こるか
Yahoo!ニュースに「ヒロシ、山を買う! 誰にも邪魔されないソロキャンプを目指して」という記事が載っていた。
週刊プレイボーイの記事の転載らしいが、ようするに一人で行うキャンプで有名になった芸能人のヒロシが、最近は有名になりすぎてキャンプ場に行くと声をかけられてしまう。そこで誰にも邪魔されないキャンプをする場所を確保するために山を買った、というニュースである。
世間的には山を買うということで驚きを持たれるわけだが、たしかに雑木林なんぞは1ヘクタール10万円20万円でも手に入る。業者を間に入れると100万円単位に膨れ上がるかもしれないが、買うのはそんなに難しくないわけだ。だから私的にはそんなに意外感はなく、ふ~ん、程度であった。
ただ、山を買うとどんな問題があるか、ということをインタビューで応えていて、これがなかなか秀逸。そもそも境界線がいい加減なことやたどり着くまでの経路を確保しなければならないこと、災害で崖が崩れたらどうなるか、草木が繁るのをどうするか、ヒルの発生やら焚き火を行う前にやらねばならんこと……など、現代の山林問題をわりとわかりやすく解説している(笑)。どうぞ入門編としてお読みください。
まあ、どの地域の山をどれだけの面積買ったのか記していないのでイマイチイメージがわかない点もあるが、私も小面積山林を所有する身なので、思わず共感する(^o^)。我がタナカ山林も、草の繁茂に竹問題があるし、近頃は台風で倒木が相次ぎ処理に困る。焚き火をすると苦情が来るし。それに真ん中に道があり、そこをハイカーが歩くと声が聞こえるのが億劫。
とりあえず道沿いに目隠し用のブッシュをつくって、その見えない内側で楽しむことにしている。現在は、山菜と花園づくり(^o^)をしている。
本当はもう少し広い山林が欲しい。せめて1ヘクタールは欲しいと思っている。
1ヘクタール=100メートル×100メートルだからから、その中心部に入ったら誰からも覗かれなくなるだろう。ただ、そんな山林を一人で維持するのは結構きつい。草刈りだけで音を上げそうだ。それに相続のことも考えてしまう。私が老いて山に行けなくなったら、誰も手を入れられずに荒れてしまうからだ。
そこで長期租借の形の森林所有はどうかと考えてみた。最終的に返す前提にする。
きっとヒロシみたいな人は多いから、1ヘクタールを10年間の租借権を販売するというのはどうだろう。価格を100万円くらいにしたら、山林土地を売却するよりよいと思うのだが。その土地までたどり着く道だけを入れてやり、あとは好きにさせる。
賃借だったら放置してもしなくても、山林の相続の心配をしなくてもよいし、山主は雑木山でも利益を得られる。もし、それ以上長く使いたいという人がいたら、租借継続でも売却でも改めて契約したらよい。……とまあ、ビジネスにするかどうかはともかく、個人のキャンプ用山林販売というのはアリだと思うなあ。
« 人は群れ、話したがる生き物である(^o^) | トップページ | Y!ニュース「木にハグしてコロナ・ストレスを解消…」を書いた裏事情 »
「森林学・モノローグ」カテゴリの記事
- トランプ米大統領と、緑の植民地主義(2025.01.21)
- 阪神大震災、改めて思い出す(2025.01.17)
- 雪化粧。そして、うぴ子(2025.01.12)
- ジビエ嫌いのジビエ・ビジネス(2025.01.11)
- 森の奥で根っこを張る(2025.01.05)
コメント
« 人は群れ、話したがる生き物である(^o^) | トップページ | Y!ニュース「木にハグしてコロナ・ストレスを解消…」を書いた裏事情 »
いつも拝読させていただいております。
水谷と申します。
同じような事を思い、昨年終わりに、、山のシェアリングサービスのマッチングサイトを立ち上げました。
また信用が足りないのか山の登録数は増えておりませんが、山のレクリエーションがもっと活発になるように活動していこうと思います。
今回の記事を拝見して思わずコメントしてしまいました。今後とも、記事を楽しみにしております。
投稿: 水谷悟朗 | 2020/04/20 10:47
山のシェアリングですか。すでに動いているんですね。
希望者は潜在的に多いと思うのですが。山主にとって不利益は少ないし。双方が報われますように。
投稿: | 2020/04/20 23:34
はじめまして。
北海道の池田町では今年度より試験的に町有林の貸付を始めました。
地方紙やローカルテレビで取り上げられましたが、問い合わせは5件ほど、実際に貸付まで進んでいるのは2件ほどです。
問い合わせいただいた方に話を聞くと、1ha1万円では価格が高い印象があるようです。
投稿: 山本健太 | 2020/04/21 06:57
池田町が行っていましたか。今年度ということは、まだ3週間ですね。
近くに都市部があるかどうかも影響するかもしれませんが……月1万円だと年間12万円ですね。ちょっと高いかなあ。それに毎月の賃貸料だと負担感がある。今月は一度も行けなかったのに……とか考えると損した気分になる。
ある程度「所有感」がないと楽しめません。自分は山主・森主なんだぞ、という(笑)。森の改変も自由にさせてくれないと。伐採できなきゃ楽しくないじゃないですか。
投稿: 田中淳夫 | 2020/04/21 10:17
ご意見ありがとうございます。
都市でいうと車で30分ほどの距離に帯広市があるくらいですね。
また、生立木の伐採以外は基本的に自由(事前報告が欲しいですが…)で、契約期間も任意(1か月単位)です。
確かに伐採も出来ないと楽しくないんですよね~。今使われている方は楽しそうに山に入っていらっしゃいますが、来年度以降の本格運用に向けて、試行錯誤中です…。
投稿: 山本健太 | 2020/04/21 12:09
ぜひ、いろいろ試してください。皆伐は困るけど、間伐することで森をデザインするのが楽しいと思うんですけどね。
中に少し広場をつくってキャンプサイトをつくり、そこでブランデーを飲もうキャンペーンをするとか(笑)。(我が家にも池田町のブランデーあります。)
投稿: 田中淳夫 | 2020/04/22 10:14
池田町の取り組みは頭の体操で検討してみました。知り合いに声をかければ30人ぐらいはすぐに集まるかなと。
実行に至らなかった理由は、伐採の禁止(小規模の部分間伐を想定)以外に、返却時の造作買い取り制度がないことです。
一般の賃貸借でも、断熱材を壁面に張り巡らしたり、設置済みのエアコンを更新した場合、(金額に満足はいかなくても)家主に買い取り請求できますが、
山林に遊歩道を作り、花壇を作り、BBQ設備やグランピング等の整備をしても山林返却時には無価値どころか原状回復まで請求されかねません。
まー、貸す側としてのリスクも理解できますが。
投稿: どっこいしょ | 2020/04/24 10:48
ご意見ありがとうございます。
確かに現時点では原状回復を求めてますが、買取については検討すらしていませんでした。
周囲の環境への配慮等も考慮する必要がありますが、面白いと思います。
投稿: 山本健太 | 2020/04/24 11:44
森林の「現状回復」が求められるのですか。それは森を使いたい側には、大きな壁ですね。もともと放置林を対象に描いていたから、現状自体がよろしくないのですが。
私が10年ぐらいの長期契約を期待するのも、森の所有(オーナー)意識がほしいからですが、森を自分の思い描くようにデザイン・改変できることが魅力になると思います。
投稿: 田中淳夫 | 2020/04/25 09:21
原状回復と書きましたが、例えば、設置した構造物は契約期間が終わり、継続しない場合は撤去してという意味合いです。
現在借りている方も山を管理していきたいという意向があるので、
当方からはレンタルで気が済まなくなれば、20〜30年くらいの期間で分収育林契約を結びませんか?と提案しています。
通常の分収育林契約よりもかなり自由度を高くして、分収割合も契約者の割合をかなり高めに設定する事を想定しています。
レンタル→分収育林とステップアップしていくイメージです。
投稿: 山本健太 | 2020/04/26 13:37
現場は人工林なんですか。私はソロキャンプ用などに向いた雑木林をイメージしていました。
自由度を高めた分収育林契約、いいですね。これまでのは結局、契約しても作業も何もさせてもらえなかった。単に金出すだけ。自分なりに考えて施業ができるのなら楽しさが増します。
投稿: 田中淳夫 | 2020/04/26 14:31
現場は広葉樹天然林です。
40〜50年ほど前に皆伐している山が多いので、
本州の放置里山林よりもちょっと若い感じの広葉樹林といったイメージです。
投稿: 山本健太 | 2020/04/27 05:29
広葉樹林なら、分収と言っても、ほとんど利益は出ないから分配は形だけですね。
それで20年以上オーナー気分が味わえるならアリだと思います。分収造林・分収育林の制度を利用すれば、森の借地契約も上手く進むんじゃないか。
投稿: 田中淳夫 | 2020/04/28 14:27
最近私も入隊した「空き家レンジャー」というグループが、逗子で「シェア森」という試みをされています。森も「空き家」だという認識ですね。新メンバーは旧メンバー全員の承認があれば認める、という形で、シェアメンバーは山林の使用を自由に行えるそうです。
投稿: 坂本直弥 | 2020/06/12 11:00
空き家レンジャー、しかも森も扱うのですか。所有森を何人かでシェアすれば、手入れも少し楽になりますね。ただソロキャンプをしたい時は鉢合わせしないようにしないと(^o^)。
それに所有者とメンバーとの意思疎通をしっかりする必要もあるかな。
でも、そんな機会があるのは羨ましいです。
投稿: 田中淳夫 | 2020/06/12 11:58