ミツバチとレンゲは外来種のベストマッチ
私がタケノコを掘っている近くに、ミツバチの巣箱が置かれている。プロの巣箱だから、セイヨウミツバチである。
ちょいと覗きに行った。残念ながら養蜂主はいなかったので話はできなかったのだが(というか、今の時期、他人と会ってはダメなのであった。。´Д`)……本当は、春先にもこの養蜂家の話を聞きに行くつもりでいたのだ。だけどコロナ騒動のおかげで「伺います」と言えないまま日が経っていく。お店も閉じているし。
とはいえ、ミツバチは元気そうであった。あんまり近づくわけには行かないが(写真は望遠レンズ使用)、結構飛び交っている。今年の蜜の出来はどんなものだろう。花はよく咲いただろうか。残念ながら生駒山も蜜源が減少しているらしいが……。
そういえば、別のところでレンゲ畑を見た。生駒周辺ではアルファルファタコゾウムシというアメリカ産害虫がはびこってレンゲの花を食べてしまうので、なかなか美しいレンゲ畑が見られないのだが、これだけの面積が広がっているのも久しぶりに見た。
レンゲは、秋先の水田跡に種をまいて育て、春先にそれを耕して土に鋤き込んで水を張る。根瘤細菌が窒素を固定するから、これで緑肥となる。奈良北部では多くが5月の連休に田植えを行うのだが、今年はまだあまり水を張った田を見かけない。
もっとも、そのおかげかレンゲ畑もまだ残っている。水田が早稲化(温室苗が増えた)してレンゲの花が咲く前に耕作してしまうケースもあるというが、ここにはミツバチも飛んできているようだ。子供の頃は、よくレンゲ畑で花を摘んだが、これは農家の邪魔をしたことになるかも。それも春の風物詩であった。
レンゲ畑の様子を日本の原風景と思う人も多いが、レンゲ(正式名はゲンゲ、らしい)は中国原産だという。つまり外来種。水田でレンゲを生やすと肥料効果があると持ち込まれた。江戸時代中期に入ってきたと文献にあるから、300年前ぐらい? 外来種と言っても、肥料になって若芽は食用になって、ミツバチの蜜源、家畜の餌、雑草の繁茂も抑え、景観としても優秀……とよいところばかりで害が浮かばない。しかも花が咲いたら農地に鋤き込まれるのだから、野生化しにくい。放置しても夏には枯れる。外来種の中でも有用面で超優秀。ただし、種子はほとんど中国からの輸入だ。(生態系への影響という面では、雑草を抑えているのだから、在来植物と競合するわけだけど。)
セイヨウミツバチも明治初年に入ってきた外来種。ニホンミツバチより集める蜜の量が圧倒的に多い反面、スズメバチに対抗できないため野生化しにくい。こちらも外来種の中で超優秀だ。最近は国内で世代交代させるだけでなく、輸入が増えているらしい。(ちなみに、最近は野生化したセイヨウミツバチも発見されているよう。また輸入された時にダニを持ち込むなどの問題は出ているらしい。)
セイヨウミツバチとレンゲは、有用外来種のベストマッチであった。
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