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森と林業の本

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2020/04/30

ナラ枯れ、枯れないうちの伐採策

数年前、生駒山周辺でナラ枯れが猖獗を極めた状態は幾度も紹介したと記憶する。最近は、もはや枯れる木がなくなったのか、あまり目立たなくなった。

しかし、実は今が大変なのである。というのは枯れたナラ系の大木は、この数年間で完全に枯れて強度がなくなり、ポキポキと折れていくからである。最初は梢と枝で、そろそろ幹ごと倒れる。とくに昨年は台風など強風が多くて立ち枯れていた木が揺すられて、折れては枝や幹を周辺にまき散らしている。これが危険なのはいうまでもないが、落ちた枝・幹が林床を埋めて林内を通れない。しかもほかの低木・稚樹などにのしかかって痛めつけている。ときには宙ぶらりんの枝もある。景観も悪くなってしまった。まさに「荒れている森」という状態だ。

しかし、片づけるのは相当な手間がかかる。

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さて、秋田県がナラ枯れ対策に補助金を設けたという。それが「まだ枯れていないうちに伐ってしまおう」というもの。枯れる前に伐る、という発想は自治体の施策としては珍しいかも(笑)。コロナだけでなく何事も早期対策が一番。

内容は、ナラ枯れしやすい老齢木(樹齢50年以上)を伐採して集材することへの補助らしい。助成の対象種は、ナラやコナラ、ミズナラ、クリ、カシワなど。老齢木は奥地に生えているケースが多く、林道から遠いほど伐採のコストがかさむためという理屈だ。20年度当初予算に関連経費2400万円を計上している。林道から伐採木までの距離に応じて、伐採木の材積1立方 メートル当たり最大2500円を事業者に支払うというもの。県は3年間の事業継続を目指すとか。

どうやら、広葉樹の大木を伐る業者がいることを前提にしているようだ。しかも集材する前提ということは、広葉樹林業の後押しでもある。いや、ナラ枯れ対策に名を借りた広葉樹伐採の後押しかも。

秋田県内の民有林のナラ枯れ被害は、19年度で全国ワースト1位の約7200立方メートルだった。ナラ林の7割が老齢木だというし、世界遺産の白神山地もあるから焦ったのだろうか。たしかに周辺にはミズナラやカツラも多いから。
ただし白神山地売り物はブナ林だが、不思議とブナはナラ枯れしないんだよな。ナラ枯れの正式名称はブナ科樹木萎凋病なのに。あ、この補助金でブナの大木を伐りだしてはダメだよ( ̄^ ̄)。



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