今年発行される19年度「森林・林業白書」。ここに森林環境譲与税の使い道の好事例を多く載せるため、白書担当者は奮闘しているそうだ。
もともとは与党の議員から要望があったということだが、ようするに昨年からばらまかれ始めた森林環境譲与税、どこの市町村も使い道がわからず困っているということだろう。
もともと、この森林環境税の怪しさについては、繰り返し記してきた。Yahoo!ニュースだけでこんなにもなる。
https://news.yahoo.co.jp/byline/tanakaatsuo/20150525-00046016/…
https://news.yahoo.co.jp/byline/tanakaatsuo/20151130-00051970/…
https://news.yahoo.co.jp/byline/tanakaatsuo/20171118-00078293/…
https://news.yahoo.co.jp/byline/tanakaatsuo/20190425-00123677/…
それにしても……これはコロナ騒動でも思ったのだが、日本人て、自分で考えるのがそんなに苦手?嫌い? 繁華街を出歩く若者のインタビューで、「禁止してくれたら出ないけど、自粛なら出てしまう」という言葉が連発されているのだ。それは学生だけでなくサラリーマンにもあるようだが……ようするに、自分で判断したくないし、自分で決めろと言われたら何も変えずに今までどおりの行動になっちゃう、ということなんだろう。
森林環境譲与税も、使い道がわからないと言っても、仮にその担当者が専門外だとしても、担当になったら地元の要望なり関係者の声を聞いて回って、各地の林業振興策の事例も調べて、もっとも適切な使い道をなんとかひねり出そうとしないのかね。そこまでしても、適切な使い道にはならいかもしれないが、それはそれで勉強になるし、次回もある。
妙な例えだが、記者の多くは専門外の記事も書く。その時,真面目な記者は調べて調べて取材して取材して、勉強して書くのだ。付け焼き刃かもしれないが、なんとか形にしようとする。もちろん間違いも多いし、浅はかな記事も多いのだが、一応担当になったらそれなりに努力して書くのだ。
そんなときに毎日新聞が記事にした。
ネットでは、こちら。
ようするに使い道がなくて、困っているわけだ。中には学校やフードコートのイスや机などの備品(木製)、キャンプ場整備、オリンピック施設……などに使われている。基本的に都会では整備するような森林がない。林業的な使い道は35%だという。かといって、地方の自治体のように間伐したら即森林整備で使い方としては目的に合致している……というのも不満だが。
数字は計算方法次第で変わるが、あまりにもアイデア不足なのは間違いない。
しかし森林経営管理法などと突き合わせると、たとえば所有者不明山林の調査とか、境界線確定などに使うことを期待していることがわかる。地籍調査の済んだ山林は少ないから、都会でもできることはあるはずだ。
そこで譲与税の人口割をなぜ取り入れたのか、という問題が出るが、それも都会の選挙区の議員が蠢いたのは間違いない。だいたい市町村に配分するから都会と山村の差が如実に出る。地方の森林環境税の際にも問題になったのだが、県・府単位だとそれなりにならせるのに。その反省も全然取り入れていない。
つくづく担当者の勉強不足・勉強嫌いを感じる。だから「森林・林業白書で、いっぱい事例を載せろ」という要求になるのだろう。そして、それを見て次年度は真似する例が続出するのだろう。
いっそ、事例コンテストでもやって、その上位事例自治体には翌年から傾斜配分するような制度にしたらいいかもなあ。
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