『絶望の林業』と不要不急の産業
3月の霞が関の農水省地下・三省堂書店のランキングが出た。
あああ、8位か。さすがに落ちてきたが、ここは林業本が出版後8カ月経ってもランキング入りしていると褒めておこう。
ちなみにAmazonのランキングは乱高下。品切れで視界外に去っていたが、ようやく入荷して先日はノンフィクション部門で1000番台だったのに、今夜は7000番台まで落ちているよ(涙)。
ところでAmazonを始めとするネット書店では、流通の負担を減らすため出入荷を絞っているそうである。そしてAmazonの倉庫でも底がつく。こうなると絶版扱いになりかねない。リアル書店も、なかなか開いているところが少ない(奈良では、大きめの書店はみんなショッピングモールとか百貨店などに入っているので、それが閉まると自動的にたどり着けない。)のだから、いよいよ紙の本は買いにくくなっているようである。しょうがない?のでブックオフに行ってしまう(笑)。いや、その前に購入してまだ読んでいない本が100冊以上自宅に積まれているのだから、そこから手を付けるべきか。
しかし、紙の本は生活必需品でないことを改めて思う。
コロナ禍は、世の中の「不要不急」性を洗い直す役割を果たしそうだ。同時に無駄な部分をそぎ落とすかもしれない。
そういえば食品ロスの量は、 17年度は推計約612万トンだったそう。これでも減ってきたのだが、各家庭から出る「家庭系食品ロス」約284万トンと、外食産業や食品製造業で出る「事業系食品ロス」約328万トンだ。家庭系の部分を国民1人当たりで見た場合、1年間で約48キロになる。やはり多いだろう。
しかし20年度になったら、多分事業系がガクンと減って、家庭系が伸びるのではなかろうか。ただし、生産現場(農業)で莫大なロスを生み出すかもしれない。出荷しなくても生育してしまう作物もあるから。
その調子で、木材の「不要不急」でのキャンセル量とかなんぞを計算してみてもいいなあ。ただし生産ロスは出ないようにできるはずだ。樹木は伐らなければ腐るどころかどんどん生長するのだから。いっそ、休養してその間に太くなった樹木の伐り方や製材・加工の仕方を研究しておくのが未来に備えることなんではないか。
林業全体が不要不急と言われないように。私も自身の執筆する記事の不要不急といわれないかと感じてしまう。
« 奈良のシカは本当に「凶暴」になっているのか | トップページ | Y!ニュース「超有用な外来植物の野生化…」を書いた裏事情 »
「書評・番組評・反響」カテゴリの記事
- イオンモールの喜久屋書店(2025.02.20)
- 『日本の森林』に書かれていること(2025.02.19)
- 盗伐問題の記事に思う(2025.02.03)
- 『看取られる神社』考(2025.02.02)
- 『敵』と『モリのいる場所』から描く晩年(2025.01.25)
コメント
« 奈良のシカは本当に「凶暴」になっているのか | トップページ | Y!ニュース「超有用な外来植物の野生化…」を書いた裏事情 »
原木に関しては、明らかに供給過多の為に安値になっています。その損失を補う為にさらに増産し、結果安値に拍車をかける負のループに陥っています。長年営業している先輩達の中には、何回も同じ誤ちを繰り返す木材業界に見切りをつけ廃業と言う選択をする人も増えるかも知れません。休養が出来るのであれば、大径木を搬出・製材する技術や林業機械・製材機の開発、そして新しい用途を考えてみたいものですが、止まれない事情が各々あります。…不要の林業…新しい本が書けますね。
投稿: 山のオヤジ | 2020/05/13 18:45
実は、現在の林業不況を解決するのは簡単で、木材の出荷量を調整すればいい。そして木材価格を上げること。だけど、誰も音頭は取らないし(林野庁は、もっと出荷しろと号令する有様)、何より同業者と協同して出荷を控える発想は、素材生産業者にも林家にもないでしょう。それこそ休業補償金でも出さないと……。
「不要の林業」。これ、次回作のタイトルにしよう(笑)。
投稿: | 2020/05/14 00:10