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森と林業の本

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2020/05/15

S 字を描くスギの生存戦略

真っ直ぐ伸びることが自慢のスギの中にも、曲がる木はある。それも傾いたり曲線を描く程度のは珍しくない。

が、S字を描くのはちと珍しい。それも2本並んでS字とは。

Photo_20200515224901

2本とも、そこそこの太さがあり、樹齢は50年以上あるだろう。周りのスギより太い。ちょうど同じ条件が2本に降りかかって同じように曲がったのか。生えた土地の傾きなど地形や土質、風の通り道、光の当たり方、そして栄養……とまあ、いろいろ考えられるが、これはスギとしては健康体なのだろうか。

真っ直ぐが信条のスギが曲がったのだから不健康……と思ってしまいがちだが、いやいや真っ直ぐ育って素性のよいスギは伐られて木材にされてしまう確率が高い。その点、こんなS字カーブを描けば「木材には使えないな」と見過ごされるかも?

役に立たないから長生きする可能性がある(笑)。

そういや、屋久島の屋久杉、とくに縄文杉などは凸凹でこぶがいくつもあるのは、そんな性質なのではなくて、江戸時代に屋久杉が大量に伐られた際、凸凹のスギは木材にならないから残された、それが今の屋久杉である……という説明を聞いたことがある。
つまり人間にとって使いにくい木ほど伐られずに済む。そして大木になり、種子をつけてもDNAにはその形質が遺伝する……。

これも自然淘汰の賜物だ。将来のスギは、みんな曲がって育つよう進化するのである、知らんけど。

 

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コメント

近接している木同士が似たような箇所で曲がったり傷を負ってたりするのは風倒木のせいだと思います。長年掛かられたんでしょうね。

場所は沢の近くなんで、風倒木か土砂の流入で稚樹の生え際が圧された可能性もありますね。
その割には、どちらも生長がよくて、太く育っています。

その土地の歴史を想像するのも楽しみです(^o^)。

多雪地域では、S字曲りのスギ、ごく普通です。
根元曲がりが大きいと、幹が根元曲がりとは逆の方に曲がり直したかに見えるよう曲がります。
もちろん、無垢の柱材としては決定的な欠陥です。無垢の柱材としては。

積雪は、曲がりの大きな原因ですね。
このS字の丸太を上手く活かした建築などは考えられないものか、と思います。面白いデザインになると思うのですが。もっとも、肝心の木が搬出されないだろうけど。

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