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2020/05/06

存在した!土倉庄三郎寄付目録

本当に、とっておき秘蔵写真、というか文献。

こんなものが今頃出てくるなんて……『樹喜王 土倉庄三郎』を書き直したいと思ったほど。また、どこかで土倉家文献の紹介とか最新研究発表とか行えないかと思っていたのだが、これなんか目玉になるんじゃね?

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某所で見つかった、土倉庄三郎が、いつどこに寄付したのかを記した目録だ。細かく寄付した年や金額を記している。しかも庄三郎の直筆の可能性が高い。

庄三郎が各所に膨大な寄付をしたことは知られていたが、これまで明確な証拠なり金額なりはわからなかった。『評伝』など二次文献に記されている以外の裏付けができないケースが多かったのである。一つは庄三郎自身が表に出るのを嫌って匿名の寄付だったり、文書(契約書や領収書)をとらなかったからだろう。

この目録は何のために記したかわからないが、どうも奈良県に自分の実績を示した上申書のたぐいではないかと想像している。つまり、これまでこんなに社会貢献してきたことを記して、何かの採択とか許認可などを受けようとしたのではないか。

明治27年までは記されているから、記したのはその少し後にしたためたように思う。

しかし、内容には新事実がてんこ盛り。吉野川の水路には1万5000円、大滝小学校には300円……から始まり、大阪の立憲政党新聞社に2万円、板垣退助の洋行費内に1万円、私学校芳水館に8000円。なかには川上村貧民施しに300円という項目もある。また新十津川村(現在の町)開拓祝いに1万円。同志社にも500円とあるが、これは大学開校資金とは別口のようだ。ほかにも道づくりや村に山林購入をさせたりと幅広く社会に還元している様子が浮かぶ。

価値は時代によって変わるが、ざっと2万倍にすると現在の貨幣価値に近づくと思う。たとえば1万円は2億円と換算すると、寄付の規模が想像できるだろう。

巷間伝わるものと額が違ったり、始めて知る寄付先も多数ある。残念ながら十分に読めないのだが、資料的には相当な価値があるはずだ。

先に吉野高校の林業博物館から発見された文書を紹介したが、まだまだ眠れる資料は発掘されそうである。これらを合わせると庄三郎のまた別の実像が浮かび上がるのではないか。

 

 

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