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2020/05/11

奈良のシカは本当に「凶暴」になっているのか

コロナ禍騒動が続く中、奈良のシカが取り上げられている。

最初はコロナウイルスが広がりだして、国の内外の観光客もシャットアウトされだした頃、「奈良のシカが鹿せんべいをもらえなくなったので凶暴になっている」という記事が出回った。

最初はSNSだ。私の見たのはツイッターだったが、一読「これはネタ」と笑い飛ばしたものだ。たしかに観光客が減ったら鹿せんべいを買って与える人が減るので、それ目当てに公園にたむろしているシカにとっては困る。そこに少人数の鹿せんべいを持つ人が現れたら群がってせがむ。その様子をユーチューブでアップしている人もいたし、鹿せんべいを欲しがるシカを「凶暴」という言葉で表現すれば笑えるのだろう。

私自身は、よくできたネタと思っていたのだが、それがネットで拡散され、そのうちテレビのワイドショーが取り上げ、さらにはニュース番組や新聞まで取り上げた。それも笑い抜きの「奈良のシカが凶暴に」である。この現象自体が笑える。

もっとも、すぐに奈良のシカ愛護会が声明?を出して、「鹿せんべいはおやつぐらいの役割しかなくて、主食の草や芝をたっぷり食べているから飢えていないし凶暴にもならない」と説明した。おかげで私は、Yahoo!ニュースに同じことをアップするチャンスを失った(笑)。

ところが、最近また取り上げられている。それも、今度は鹿せんべいが食べられなくなったから、シカが街の中まで進出してきた、という記事。

まあ、これもネタだろう(笑)。たしかにシカが商店街や駅前を闊歩したり、たまには店の中にまで入ってくることはある。アーケード内で雨宿りしているシカを見たこともある。また園を出て、群で駅前とか住宅街をほっつき歩いたり、ときに暴走することもある。が、それもコロナ禍とは関係のなく昔からの風景なんだから。

ただ最近は、あまりに観光客が増えすぎて、商店街も人通りが多すぎてシカが歩けなくなっていた。それが、コロナ禍のおかげ?で人通りがなくなったのだから、また進出し始めることもあるだろう。ちなみに奈良のシカは慢性的な餌不足でもあるので、餌となる草を探しに遠出することもあるはずだ。それはそれで可愛い奈良のシカの風物詩復活として捉えよう。

こうした記事がよく出るのは、みんな奈良のシカが人に依存して生きている、つまり飼育していると思っているからだろうか。鹿せんべいも必ず欲しがるものと想像しているのだろう。しかし奈良のシカは、あくまで野生だ。人には馴れているが、懐いてはいない。

3_20200511231001近鉄奈良駅前。

だいたい今の季節は、もっとも新芽が伸びて、美味しい草が増えているとき。冬ならともかく、飢える心配はない。

私は、シカも鹿せんべいばかり食べたら栄養が偏って病気になるんじゃないか、と思っていた。鹿せんべいは基本的に小麦粉だからデンプン質であり、糖質と言ってもよい。またタンパク質のグルテンも含む。これは依存症になりやすい。人間も「グルテンフリー」を心がける健康法があるぐらいだ。
だから現状の奈良のシカは、(鹿せんべいを)食べたくても食べられないから鹿せんべい依存症から回復して、さらに散歩の距離も伸ばして、むしろ奈良のシカは健康になっているんじゃないか、と想像している。

コロナ禍のせいで自宅にこもり、インスタントのでんぷん・糖類が過剰な料理やお菓子ばかり食べ、運動不足になった人間より、奈良のシカの方が健全な生活を送っているかもしれない。

 

 

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