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2020/06/15

グリーンリカバリー~日本の気候危機宣言とEU生物多様性戦略

ほとんどベタ記事で、世間的にも注目されていないが、環境省が「気候危機宣言」を出したことを知っているだろうか。
地球温暖化が進み、より激甚な豪雨災害が頻発すると予想したのだ。環境各所にも「気候危機」という言葉が使われている。

で、どうするの? という具体策が見えてこないのが残念だが……。締めくくりは、排出される二酸化炭素の6割は生活用品の生産だから「生活の低炭素化」を図りましょう、ということらしい。

しかし、地球温暖化対策は焦眉の急だ。グレタさんが注目を浴びてさほど年月は経っていないのに、世間の目はコロナウイルスに向かってしまった。しかし、コロナ後の「新しい生活様式」にも二酸化炭素排出削減を加えるべきだろう。
すでに世界ではグリーンリカバリーという言葉が使われており、この危機から環境に配慮した経済回復をめざす動きが目立ち始めた。「コロナ後の経済復活策に気候変動対策を据えて、経済のパラダイムを変えよう」というのだ。

そんなときに目についたのが、欧州委員会(EC)の発表した「2030年に向けたEU生物多様性戦略」。
私は概要を読んだだけだが、なかなかすごい目標が並んでいる。

ヨーロッパの土地の30%、海の30%を保護区にして、棄損している生態系を回復させる。
自然に流れる河川の少なくとも2万5000kmを回復させる(自然護岸にするということか?)
30億本の植林をするというのもある。これは、どれだけの面積になるか。ヘクタール3000本植えだったら、100万ヘクタールの森林化ということになる。ヘクタールあたり1000本の植林ならば300万ヘクタール。

農業面でも、さまざまな目標が並ぶ。たとえば有機農業や生物多様性の豊かな景観を増やす。
授粉媒介者(昆虫)の減少を食い止め増加に転じさせる。
殺虫剤の使用やそのリスクを半減させる……。
こうした政策によって、最大50万人分の新しい雇用、グリーンジョブを生み出す。

これも「グリーンリカバリー戦略」の一環だろう。転んでもタダで起きないというか、ヨーロッパは、コロナ禍の痛手を経済戦略の転換にも利用しようとしているようだ。すでに脱炭素化を目標に掲げて、石炭発電などに金融やビジネス面から締めつけを強めている。

日本も宣言だけでなく、壮大な目標を掲げてほしい。かろうじて小泉環境省は、地球温暖化防止の情報をオンラインで世界中で共有しようという提案をしているが、具体的に動き出しているのだろうか。

 

 

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