「山猫」の実験場、求む
岩手の花巻市で取材したのは、小友木材店。ここで何を取材したのかはおいといてヾ(- -;)マタカ こちらを紹介しよう。
正確に言えば、これも取材の一部ではあるのだが、まったく別の扱いなのである。
これ、何かわかるだろうか。一応は木材運搬機。丸太の片方を乗せて、引っ張るのである。人呼んでデジタル馬搬「山猫」という。馬搬というより山猫搬かもしれないが。。。
岩手では、馬搬がまだ残っているというか再興している。ウマならば作業道を入れていない山からでも木材が出せるし、山を傷めないですむという点から注目を集めているからだ。ただしウマを飼育するのはなかなか大変だから、それを機械化したものだ。動力は充電式電池。ベースマシンが除雪機というのは、さすが岩手である……。そして「山猫」という命名が、いかにも岩手らしい。賢治の故郷だねえ。
ともあれ、通常4メートル材1本を引っ張って出せる力がある。道のない山の斜面を引きずっていける。見たところ下りは強そうだが、登りは斜度次第といったところか。搬出は基本的に下りだが、部分的に登りもあるだろうから、そこをいかにクリアするか。
これを使うのは、一般的な林業家ではなく、副業、それもたまに少量の木材を搬出したい林家だろうか。少量だけに道を入れるほどではない、しかし、出したい木がある。それは銘木級で高く売れる……などの状況が考えられるか。
といっても、用途はそれほど絞り込まなくてもよいはずだ。むしろ伐採現場に燃料、植林現場に苗木などの資材とか弁当を運ぶのはどうだろう。あるいは自家用の薪や椎茸原木にする木を伐って搬出するのも使える。私は、有害駆除したシカやイノシシを運ぶのに使えるのではないかと感じた。山中で倒しても、それを道路まで運ぶのは大変だからである。
開発者によると、これを全国のさまざまな実地で試してデータを取りたいとの意向である。どんな山でどんな用途に使えるか、あるいは使えないか。まさに提案によって改良も進む。
林業以外の用途でも使いたい人がいたら声を上げてほしい。道なき山中で何を採取する仕事や、ハンターに向いていると思うが。もともと4月以降に実験するはずだったが、コロナ禍で止まっていた。しかし、そろそろ動き出したいところ。今なら間に合うよ。
私も何軒かに声をかけたが、あまり乗ってくれる人がいない。とりあえず吉野の某山主にOKをいただいたが、林業関係者の引っ込み思案というか、新しいものへのとっつきの悪さを感じるのだが、もっとフレキシブルに動こうよ。
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以前、別記事に町有林貸付についてコメントさせていただいた北海道池田町の山本です。
小規模な林業にマッチする機械だと思い、早速実験の場として立候補させていただきました。
有益な情報、誠にありがとうございます!
投稿: 山本健太 | 2020/06/18 12:34
どうぞ。小友木材店に連絡してください。
投稿: 田中淳夫 | 2020/06/18 20:49