森林体験と離職率
森林・林業白書に、こんなコラムがあったのだけど……。
ようは、社員を森林内の野外活動(これを森林セラピーと呼ぶのはどうか? 林野庁自らが定めた森林セラピーの定義とずれていないか)をさせたら、離職率が下がったというのだが……。
具体的には2005年から2007年までの3年以内の新入社員の離職率は12%あったが、2008年から2014年までの期間では1%まで下がったというのである。
なんか、うさん臭い(笑)。この手の数字は、機能性食品を摂取したらナンタラカンタラの効果が出ました、というのと同じだ。森林セラピー基地側の宣伝パンフなどで使う程度なら目をつぶるとしても、白書で記すことか。不当表示にならないか。かろうじて囲みのコラムに納めているが、少なくても数字を出すべきではない。
森林セラピーの医学的エビデンスそのものが、かなりいい加減であるが、離職率の減少と結びつけるのは反則技というかサギ的論法のように思う。偶然の結果を必然に見せかけるのは、サイコロの目で株式投資先を決めるようなものだろう。
だいたい2008年はリーマン・ショックがあった年であり、その後数年間は雇用環境が極度に悪化した時期だ。その時にようやく正社員として勤められた人は、簡単に離職しないのは当たり前だろう。仮に年間何十日間は森林体験させているから、とでもいうのならまだしも、入社時の数日間の研修くらいでストレス発散方法を身につけたというのも無理筋。
それなら林業界の離職率の高さはどう説明するんだ(笑)。森の中にいてもストレス発散できない、ストレスたまるからか。
本当に離職率へ直接的な影響を与える要素は、給与の額と休暇取得日数、そして職場の人間関係である。コロナ禍中のリモートワークのように、他の社員と合わない環境をつくったら離職率が下がるかも。
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