「ご神木」の伐採は是か非か
八王子市の神社が、境内からはみ出て通行を邪魔するケヤキなどの木を伐らないで困っている、という話題をワイドショーでやっていた。
とうとう八王子市と国土交通省の関東地方整備局が、行政代執行を行ったそうだ。はみ出した木の枝の伐採と撤去したのである。最長9メートルもはみ出ていたらしい。信号は見えないわ、道を越えて向かいの児童館の敷地まで伸びていた……とか。
問題は、神社側が22回にもおよぶ市などの撤去を求める指導に応じなかった点。「この木は、ご神木だ」という主張をしていたらしい。本当にご神木だったのか怪しくて、私もテレビで見たかぎりでは、なんか宮司が依怙地なだけのように思えたのだが……そもそも神木とは何か、神木は伐ってはいけないのか、ということが気にかかる。
そもそも私は、神社の「鎮守の森」が禁足地で、太古の自然が残っている、潜在自然植生だ……という言説を信じていない。
これ、某神社のご神木である。スギの大木だ。ただ、私が総代に話を聞いたところ、境内はヒノキ林で、その中には大木も多いものの、もっとも太かったのがこのスギだったから「神木」に選んだという。選んだ……総代が直接経験しているらしい。わりと新しいのである。
ついでに言えば、奈良県の大神神社。神社の中の神社というほど古く、三輪山を御神体にしていることで知られている。 三輪山
三輪山は、登ることはできるが、写真禁止などいろいろ厳しい。ただ、山が禁足になったのはどうやら江戸時代らしい。古代には、木を伐っていたから林業発症の地ではないか、と私は思っているのだが、その後もマツタケの名所だった(^o^)。みんなマツタケを採りに入っていたのである。また古い絵図にもマツが描かれているが、マツが生えているのだから土壌は貧弱なのだろう。木や草を採りすぎて荒れていたに違いない。
ほかの有名な神社でも、木材を得るため鎮守の森に植林していた記録がある。本殿など神社のお堂建て直しのための木材なのか、あるいは売って金に変えたのか。そしてマツタケだけでなく、落葉や下草も肥料として周辺の農民に販売していたらしい。それを止めたのは、一部は明治、多くは戦後のようだ。「潜在植生」というのも、戦後手を入れなくなって成立した鎮守の森なんだろう。
だからなあ、ご神木というのは、もっとも太くて高く売れる木だという意味だと思うよ(^_^) 。
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