2019年度の林業遺産が決定
毎年、5月には林業遺産が発表されているが、今年はまだ出ていない。コロナ禍で遅れるか、なくなるか……と思っていたが、6月になって発表相成った。
林業遺産選定一覧(2019年度)
今年は6カ所である。うち東北が3つをしめる。これで41になった。なかには大日本山林会の林業文献センターなんてのもあるが……これは個人の蔵書を元にしているから、単なる図書館的な文献の収蔵とは意味が違うだろう。
それにしても、今までのものも含めてだが、正直「林業遺産」って地味なんだよね(笑)。一般の人、いや林業関係者でも、聞いてすぐピンと来るものは少ないだろう。多少有名なものは出尽くしたのかもしれない。あえて言えば、地味なものに林業遺産と名付けることで注目を集めて再認識してもらう戦略かもしれない。
もともと推薦方式だから、地元の人が「これを林業遺産に」と思って申請しないと、審査もされない。ということは、地元に過去の林業に詳しい人がいなくてはならないし、それを推薦したいというパッションも書類作成能力も必要だ。
私的に目を引いたのは、山形の「草木塔群」と、兵庫の「再度山の植林」だろうか。
草木塔に関しては、私も幾度かブログで紹介している。「草木塔を、今」「草木塔を建てよう」
ようは好きなんだ(笑)。
全国の9割が山形県置賜地方にあるし、ほかのものは戦後建てたものが多いから、やはり起源は、置賜地方なのだろう。草や樹木と植物まで弔う発想は独特だから、もうちょっと注目してもよいかと思う。
金沢大学内の「角間の里」に建てられた草木塔。まだ新しい。
そして明治時代に行われた再度山の植林は、近代的な砂防緑化工事として価値があるのだろう。本多清六も関わっているし、六甲アルプスなんて呼ばれるのも、はげ山時代に山が削れて険しい地形となり、その後の緑化があってこそ。
ただ、砂防緑化と聞いて先に思い出すのは、滋賀県の田上山である。奈良時代から伐採が続いてはげ山になってしまったが、明治以降の砂防工事で緑の山にもどしたという点では、再度山以上に価値あると思うのだが、推薦する人はいなかったのか。やはり、推薦人の有無も条件になるか。
ともあれ、地元にこれは、というものがあるのなら、飽和状態にならないうちに推薦することをお勧めする。
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