中近東、南米、東南アジア……世界はバッタで満ちている
以前から気にしていた中近東で発生したサバクトビバッタの大群。今やインドのニューデリー、そしてネパールのヒマラヤ山脈の麓まで到着したという情報があった。群れの長さは7キロまで達したという。
もともとアラビア半島で発生して、2018年にサイクロンによる大雨が続き、餌となる草が増えてバッタが増殖した。一部はアフリカ大陸に渡ってソマリア地方から東アフリカ一帯に広がっている。とくにケニヤで大発生しているという。一方で東進した群はペルシャ湾を渡ってイラン、パキスタンと進み、とうとうインド入り……。もしインドの穀倉地帯を破壊したら、只事でなくなる。夏は、虫の繁殖期だからなあ。
ところで南アメリカでも、近縁種のミナミアメリカバッタが大発生しているそうだ。
こちらはウルグアイで発生したバッタの大群がアルゼンチンに襲来したという。地元紙によると、大群は4000万匹ほどで、大群の帯は長さ10キロ、幅8キロほどに及び、毎日100キロほど移動。1日で牛2000頭分、3万5000人分の食料に相当する農作物を食い荒らしているという(この表現の仕方がアルゼンチンらしい……)。
さらにブラジル南部にも進行しているとか。
中国の東北部でもクルマバッタモドキ(モドキとついているが、完全なバッタの仲間)の仲間が、大発生したという。
さらにラオスから雲南省にもバッタが侵入してきた。8日までに飛来が確認された地域の面積は累計約6600ヘクタール。その後も拡大を続けている模様だ。このバッタの正体は、中国名・黄脊竹蝗(Ceracris kiangsu Tsai)という種類のバッタだ。和名はなさそう。名前の通り竹を食い荒らすそうで、森林もやられる。
さすがに、これらのバッタが日本へ飛来してくる可能性は低いが、どうしても西村寿行の『蒼氓の大地、滅ぶ』を思い出す。東北で大発生したバッタが、日本を壊滅に追い込んでいていき、とうとう東北独立へと進むというパニック小説だ。それはともかく、この世界の趨勢、イヤな予感がするなあ。何か昆虫が大発生する要因が地球規模で広がっているのだろうか。
日本では、バッタよりウンカの大発生が過去多くの飢饉を引き起こした。稲を壊滅させるからだ。現在は農薬が発達して抑え込んでいるが、最近農薬抵抗性ウンカが登場したというからおちおちしていられない。ウンカは東シナ海を渡ってくる。
ちなみに今年兵庫県では、カメムシ大発生の注意報が出されている。また淡路島でも何種類かのマイマイガなどガの大発生が始まっている。毛虫の大量発生だ。
なぜ、こんなに大発生するのか。
昆虫は産卵する数がものすごく多いが、たいてい天敵などによって大部分の卵は死ぬ・孵化しない。しかし、ちょっとした環境条件の変化で(たとえば天敵の生息環境の悪化など)バランスが崩れ、多くが孵化してしまうことが起きる。それが大発生につながるわけである。もしかして、それは地球規模の気象変動の一環かもしれない。いや、神の摂理か怒りか。コロナ禍と一緒である。
ちなみに中国で、また新たな新型インフルエンザが発生したようである。ブタインフルが変異して、人間にも感染するようになったとか。さあ、どうなる?
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