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森と林業と田舎の本

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2020/07/09

今更ながらの「過剰木材緊急対策」

コロナ禍不況対策として打ち上げられた「令和2年度 過剰木材在庫利用緊急対策事業」に目を通してみた。

この件に関しては、Yahoo!ニュースに「輸出木材の保管費用もコロナ禍対策?輸出拡大をめざす農林産物の怪しげな内容」を書いている。ここでは、コロナ禍対策が木材輸出の在庫に補助金を出すことか! と突っ込んだわけだが、それをそのまま延長したような対策事業(笑)。

新型コロナウイルスの世界的な感染拡⼤により、林業・⽊材産業においては、中国への丸太輸出の停滞、資材難による住宅建築の遅れ、経済活動全体の停滞などにより、国内外での⽊材需要の減少やこれに伴う在庫の増加、減産、⼊荷制限等といった事態が起こっており、事業者の事業継続に影響が⽣じています。
輸出の停滞により⾏き場のなくなった輸出向け原⽊を有効活⽤するため公共施設等における⽊材利⽤を⽀援します。

どうしてもコロナ禍による木材輸出の停滞を強調したいらしい。中国は、すでに正常化しているって。在庫が増えた原因は、国内の建設現場の停滞だろう。今どき輸出木材抱えて「売れない!」と嘆いている業者は、ビジネスの失敗をコロナ禍に隠しているだけではないか。
さらに付け加えれば、水害で山は各地でズタズタになっていて、木が出せなくなっている。現在の在庫が尽きたら、原木価格は一転値上がりするかもしれない。その頃に、この対策事業で需要が増えたらどうなる?

で、肝心の補助案件だが。

○ 過剰⽊材在庫利⽤緊急対策事業
通常⽊材が使われない外構部や公共施設等における⽊材の活⽤を通じて輸出の停滞により⾏き場のなくなった輸出向け原⽊を有効活⽤するための取組を⽀援します。
また、⽊材利⽤を促進するための普及活動を⽀援します。
(対象となる施設)
• 公共建築物等⽊材利⽤促進法に基づく公共施設(学校、保育園、病院、⽼⼈ホーム、駅、庁舎等)
• 災害対策基本法に基づく指定公共機関の施設
• 公共の⽤に供する場に設置される外構(公園等の塀や柵、デッキ、遊具等)

とはいえ、さすがに輸出木材だけに対策というのもオカシイというわけで、木材建設関係に大盤振る舞いをしていた。すごいよ、この項目。

これらは、どこを見ても国産材を使えとは書いていない。おそらく書けないのだろう(書いたらWTO違反になるから?)けど、それなら外材の建材も使えるということか。まあ、それもコロナ禍不況対策にはなるだろうけど(建築業界の、ね)。

(⽀援⽔準)
⼯務店等の施⼯者が⽊材を活⽤する際の経費(材料費、⼯事費等)について、以下の⽔準で⽀援。
• 構造材床⾯積  1平⽅メートル当たり 39,000円以内
• 内装材 内装⾯積 1平⽅メートル当たり 12,000円以内
• 外構材 延⻑  1メートル当たり 17,500円以内 等

これらの金額は、なかなかのものだ。

ただ、よくよく読むと「利用できるのは、CW法に基づき合法性が確認された木材製品です。」という項目があった。CW、クリーンウッド法がこんなところに登場するなんて。CW法に登録していたら支援額が増額するそうだ。こんなもん、取っている業者がいるのか? と言われているが、餌をぶら下げたか。コロナ禍対策のふりをしつつ、不興の法律を抱き合わせるとはなあ(苦笑)。あわてて登録する業者もいるかもしれない。しかし、外材なら合法性は森林認証制度で押さえているはずだ。こちらの方が信頼度は高い。


それにしても外構材高いねえ。ここにケボニー化木材を押し込めないか(⌒ー⌒)。デッキや公園遊具にも使ってほしい。現状は欧州材だが、少しはスギ材製のケボニー化木材(フラン樹脂化木材)もあるよ。

ぜひ、これらの支援策を使って、コロナ禍を乗り切ってくれ(⌒ー⌒)。

 

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コメント

田中さんいつも多様な発信ありがとうございます。

輸出用とはいえ木材が在庫を抱ええいる…にもかかわらず成長産業化の(と言い張る)ため素材生産量の増加は目標に掲げたまま…伐採後の再造林コスト低下は林野庁も取り組んでいるところですが、実際一番お金がかかるのは獣害防除…どう考えても再造林すれば赤字…(シカがいるところでは)。在庫抱えているのに赤字覚悟で素材生産伸ばすというのはおかしい気がしますね…(皆伐でなく搬出間伐を増やすならわかりますが)。私は素人なので林業屋(素材屋?)さんにとってはこれが正しいことなのかもしれませんが。

誰もが、オカシイと思っていますよ。思わないのはお役人だけ(笑)。いやオカシイと思っても止まらないのは、というべきでしょうか。
ようは自分の担当部署の成績を上げることだけが目的で、国全体、森林や林業全体のことなど知ったことか、というのが林野庁のお役人の本音でしょう。

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