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2020/07/24

本郷林野庁長官インタビュー記事

電子農林水産専門誌Agrio314号に巻頭で本郷林野庁長官のインタビューが掲載されていた。

冒頭だけ紹介すると、こんな感じ。

Photo_20200724215101

Agrioは、時事通信社のpdfで発行される農林水産業の専門誌。やはり農業が多いが、林業も水産業の記事も折々に掲載されている。私はわりと愛読していて、とくに内部情報を得られるので重宝する。実は水産業の記事も面白い。たとえば世界中の漁獲量は伸びているのに、日本だけがマイナスであることがあらわになってくる。官庁の裏側情報なんぞはドタバタぶりが笑える。ちなみにトライアルに申し込むと、無料で35日間全号分読めるよ。(リンク先参照)

で、インタビュー。あんまり新味のあることはしゃべっていないが、現代の林業に関するとらえ方は、私とさほど離れているわけではない。

切る木がなくなって、林業や山村にお金が落ちなくなった。それが30年、40年続いているわけだ。。だから、例えばイノベーションやシステムの改善に取り組もうにもお金がない
天然林にして大きくなった広葉樹を切るといった持続可能な林業
人口減少の影響で働く人も当然少なくなる。日本のあらゆる産業が人手を欲しがって、給料の高いところに流れていく。とても今の林業では太刀打ちできず、現状としては減る一方

ただ、それに対する対策は、という点でずれてくるんだな。

「木材需要の拡大」……違うでしょ。需要が拡大しても利益が出なければ意味がないのだ。あくまでめざすは林業関係者の利益の拡大である。それも補助金抜きの。人口が減少していく社会で需要を拡大させようというのが外れているし、自由貿易体制の中で需要を拡大しても外材が流入してくるだけだ。量(売上)ではなく、質(利益率)の拡大を図ってほしい。

最後に、「循環が可能な値段で売らないといけない。持続的に収穫することが一番大事」とあるのだが、ここをもっと強調しないと。
すでに木材需要は伸びている。なんたってバイオマス発電燃料が莫大に増えたからね。でも相変わらず「扱う木材」の量ばかりを競い合って価格競争に陥ったり(バイオマス燃料も輸入ばかり)、目先の量を増やすために補助金という名の税金を注ぎ込んで、全然利益が出ない(総体では赤字)ようにしてしまうのが問題なんだから。

 

 

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