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森と林業の本

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2020/07/20

土倉翁の座右の銘「守不移」は起業の心得か

昨日の続きというわけではないが、川上村大滝の土倉屋敷跡。その前で吉野川が大きく湾曲するが、かつて木材を筏流しした舞台だ。

もっとも地質的には、花崗岩だろうか硬い岩が剥き出しになっていて、そのまま筏を流せばつっかえたり引っくり返る心配があるだろう。そこで岩をコツコツ削って、川の水がすんなり流れるようにした。その部分を割滝と呼ぶ。大滝を二つに割ったという意味だろうか。

実は、3年前に調査を行っている。当ブログでも紹介した。「割滝調査

今回は、梅雨の合間ということで、ちょうど水が二股に割れてよく流れていた。前よりわかりやすいだろう。

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左側が人工に削った水路だ。ここを筏が流されたかと思うと、なかなか恐い。そして新たな説明版も作られていた。

見事な青空をバックにした庄三郎の銅像も、なんかかっこいい。

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この前にも新たな説明版ができ、そこには庄三郎の座右の銘「守不移」の言葉が紹介されている。移らないで守る、という意味だ。庄三郎は、普段より京都や大阪、そして東京にも頻繁に行ったが、拠点は吉野の大滝を動かなかった。自らの拠点は山であり林業であるという立場を崩さなかった。幾度か衆議院議員や奈良県会議員、山林局(現在の林野庁)局長……にならないかと誘われた。仕事面でも大阪の木材相場を張っていたこともあったそうで、拠点を大阪に移した方が有利だったかもしれない。が、みんな断り、動かなかった。

二股に分けた割滝も、結局流れは一緒になるもんね。

さまざまな事業に出資したが、それらが動き出すと自らは手を引いて他人に任せてしまう。自身の役割は起業まで、と心得ていたようだ。そんな経営者は、今のビジネス界にはいるだろうか。

そういや日本資本主義の原点とも賞され、一万円札の肖像になる渋澤栄一は、幾百もの株式会社を立ち上げたとされるが、自分の手元にはほとんど残さなかったなあ。お二人は旧知の間柄である。いろいろな会議などで同席した記録が残る。

ちなみに来年のNHK大河ドラマの主人公は、渋澤栄一だ。このドラマに土倉庄三郎も登場しないかなあ。まあ、「八重の桜」と「朝がきた」のときも同じような期待をしたのだが(笑)。

 

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