CLTに続け?DLTにNLT!
CLTの出始めの頃、なぜこんな建材が流行るんだ?という話題になったとき、ローマ字3つ並んでいるのが言いやすいしオシャレ感覚なんだよ、という意見が出た。そう言えばその頃、AKBだNMBだSKE、HKT……ととアイドルグループ名に多用されだしたのだった。
そんな今、なぜだか登場した建材、DLTとかNLTを知っているだろうか。
DLTは、Dowel Laminated Timber。木ダボで接合した積層材のこと。
NLTは、Nail Laminated Timber。釘で板を相互結合させた積層材である。
別に新発明ではなくて、昔からある。DLTは1970年代の登場だが、私も新月伐採(なつかしい!)を売り込んでいたオーストラリア人が盛んに勧めていたのを覚えている。私的には新月伐採より、木ダボ接合に興味を持ったのだった。
NLTにいたっては、100年以上の歴史がある。釘を打ちつけるだけなんだから、誰でも考えつくのだろう。
それがなぜだか日本では今頃注目され出したらしい。
理由として考えられるのは、製造時に接着剤を使用しないことと、工程が単純なため大型の接着製造設備が不要であることだろう。そしてそれは、製造時の使用エネルギーや環境負荷の低減にもつながる。
日本の木材加工業としては、CLTや集成材、合板のような大型工場がいらない点で、参入しやすいのかもしれない。同時に、何か新しい建材に飛びつきがち。今の建材に何かと不満があるのか、一発逆転の商品がほしいのか。
ただCLTのように板の木目を直交させるわけではなく、木目を揃えるから、どちらかと言うとLVL、単層積層板に似ている。板の厚さが違うし接着剤も使わないけど。
そして昔から使われてきたということは、安全性・耐久性を示せるとともに、あまり普及しなかった理由もあるのではないか。
私自身は、それらの建材について詳しく知っているわけではないが、まあCLTと同じで、面白い部分もあるけど、欠点もあって、使い道に合わせて選ぶのがよいのだろうなあ。何より、その原料となる木材を高く買い取っているかどうかが重要だ。
DLT、NLTともに、CLTよりは真っ直ぐなラミナが必要だろう。するとA材になるか。接着剤で加圧して面でくっつけるのではなく、木ダボや釘だけなら、張り合わせる面にすき間ができないようにしなくてはならないだろうから。もしかして、カンナで削って面を作るのなら歩留りがかなり悪いかも。
やはり木材産業も林業界も、一発逆転、この新建材が売れまくって経営が一気に好転する……ことを期待するのは邪道だろう。
もはやAKBだって斜陽だ。今や乃木坂、欅坂、日向坂……の坂道時代なんだもの。
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