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2020/08/06

複層林・複相林の7年間

先に紹介した竜門の滝の近くには、こんな森がある。

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わかるだろうか。そう、複層林(複相林)だ。スギの人工林の一部を伐採して、その跡地に新植する。これで樹齢の異なるスギが並ぶ複層になる、という施業方法。林野庁が長く推進していましたねえ。
ちなみにこの場所は、1区画はせいぜい2~3アールかな。ただ幅は5mくらいしかないから、実質列状間伐をした跡地に植えたような感じ。

ま、始めたころから意識ある林業家には、「絶対に無理。失敗する」と言われていたのだけど、実際どうにも下層のスギは育たない。上層のスギがすぐに枝を伸ばしてしまって暗くなっているからだ。よほどこまめに上層を間伐して光を調節しないと厳しいだろう。

でも「一度上げた旗は降ろせない」(林野庁)ものだから、フクソウリンという読みを同じの複相林という施業法にこっそり切り換えたのだけど、いつのまにか、帯状皆伐を大々的に導入するのに利用してしまったといういわくつき(笑)。これは、複相林の方かな。

ちなみに、この下層のスギは何年生だろうか。細くてひょろひょろだけと、少なくても20年以上は経つはず。

参考までに、7年半前に撮った写真を。ほぼ同じ場所なのだけど、幹の太さは変わらない。7年間まったく成長しなかったのか。いや、枝葉の色が今の方が悪い。前回は3月だったのに青々としているが、今回は8月で下枝が枯れている……。ただ、紐打ち(初期の枝打ち)を施しているようらしいのは、さすが吉野だと感じる。初期の撫育はしっかりしている。

1_20200806162001

なかなか林業における樹木の成長を考えるのによい(反面教師)場所であった。

 

 

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コメント

複層林も上下の樹種をきちんと考えて、生産目的に沿った施業を行う前提なら簡単でないけれど一つの施業方法としては悪いものでは無いはずなのですが…(かつての山武林業はアカマツ-スギの複層林施業を行っていた)こうした種特性を考えない同樹種の二段林や保育作業放棄で失敗した林地の多発によりすっかり複層林=うまく行かないが染み付いてしまいましたね…

こんにちは。先日見学スポットを教えていただけるようお願いした者です。
吉野林材振興協議会に連絡を取り、8日に見学をさせてもらうことになりました。その際に貴方のご著書を読んでお電話しておりますと申し上げました。まずは現場へ足を運ぶことからです。さしあたってご連絡申し上げます。

複層林というか、異種異年齢の森をつくる試みはいいのですが、技術的な裏打ちがないと。もし現場に任せたら、もう少しマシにできたと思うのだけど、机上で考えた技術を押しつけるとどうにもなりません。

複層林(樹下植)で成功した例は見たことありませんね。
仰られるとおり、1ha未満の小面積皆伐や39m以下の帯状伐採も複層林として国は補助金の対象としてます。
私は、こういうのを複層林もどきと呼んでいます。
山に詳しい森林所有者は、こんな施業絶対やりませんね。
主伐したら植えなければいけない→優良苗木はほとんど出回っていない(コンテナ苗は高いだけで成長が遅い)→コストがかかるわりにいい山づくりができないといったことがわかっているので、2割程度の伐採率の間伐を繰り返しながら長伐期にして植栽しなくていい施業を何とかやっています。

まったくないわけではありません。一部の篤林家の森とか、江戸時代の林業書には記載がありますから。ただ、相当緻密な育林を行ったようです。
それだけの覚悟もなしに取り組む世界じゃない。とくに今ほど低コスト施業を強調しているときに手を出すと、失敗する。
もっとも、林野庁はそんなことはどうでもよくて、ようするに新しいことを手がけて、将来がどうなろうと今の評価を上げることだけを考えているのです。だから複層林にするという名目で皆伐しても平気なのでしょう。林野庁が推薦する施業に背を向けるのが正解のようです。

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