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2020/08/11

「中抜きの林業」のヤバい部分

ふとSNSで流れてきた「東洋経済オンライン」の『日本人を貧しくする商習慣「中抜き」のヤバい訳』を読んだ。

ああ、これだこれだ、と私の考えていた「林業がなぜ儲からないのか」理由を改めて振り返る。ただし、この記事の指摘する「中抜き」という言葉の意味は違う。

この記事の冒頭には、政府の持続化給付金事業を受託した組織が、業務を外部企業に再委託していた問題でが説明されている。まったく仕事をせずに請負額から手数料だけ抜いて(下請けに)丸投げしていることには激しい怒りを感じるが、この手数料だけを抜くことを「中抜き」と記している。この額、通常は約1割だが、ときに半分ぐらい搾取するケースもあるから恐るべき日本社会の構造である。

だが、私の指摘する林業の問題の「中抜き」は表面上は少し違う。山主から伐採業者(素材生産業者)、市場、製材所、プレカット工場、木材問屋、木材店から工務店、施主までの流れに幾度となく木材が動いているが、ここに問題があると指摘すると「中抜き」が行われるのである。たとえば市場を抜く、木材問屋を抜く……などである。ときに山主と伐採業者が一体化する「自伐」によるマージン削減も考えられる。この様な流通の一部の機能を飛ばすことを「中抜き」と呼ぶことが多い。

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私自身は、この中抜きに危険を感じている。なぜなら各ステージにある役割を誰が負うかはっきりしないからである。たとえば市場を外して、その移動などの手間と手数料を削減するとしても、市場の土場の仕分け機能や市場自体が持つ金融(ファイナンス)機能を代わって負うのは誰か。仕分けは、山主が指揮する?伐採業者がどこかの土場で行う? 資金の先払いを受けずに業者は仕事を回せるのか……もちろん、代わりを務められたら大いに結構。山主が自ら木を伐るのはそんなケースだ。まさに中抜きがコスト削減になる。
しかし、もし馴れないため仕分けが上手くなく、売れ筋を外したらどうするか。金融機関が適切な資金供与せずにショートしたらどうするか。いや仕分けが面倒だから、A材もみんなバイオマス発電行きだあ~! てこともある。中抜きによって得るべき利益を失っているのである。

一方で、多くの(独立した)業者が介在することで、確実に増えるものがある。それぞれのステージで管理部門の手数と人件費がかかるのだ。たとえば経理担当者も、営業マンも各自抱えている。材料の入荷と工場の稼働状況を管理する人がいないと、工場の常時稼働はできず、止まれば損害を負う。

これは、日本の多くの産業全般で行われる流通の細分化にも通じることだ。いくつもの会社を経由することで、仕分けなど機能は分担できるが、それぞれの会社の管理コストが膨らんでいく。しかも、それぞれのマージンもデタラメ。力の強いところが多く取る。ほとんど仕事をせず下請けに出しながらマージンを2割3割取る業者もいれば、要求に応えて細かな管理をしているのに数%しかとれないところもある。

私は、林業改革で最初に手を付けるべきは、この部分ではないか、と考えていたのだ。

管理部門をばっさり落とせば、随分経費が浮くはずだ。全体のコーディネートを行う会社が、流通過程のすべてを把握して、一括して管理(営業も、経理も、スケジューリングも)する役割を果たせば、1割2割のコストが浮いて、その浮いた金を適正に配分するだけで、随分業界は儲かるようになるのではないか。何より山主にまともな金額を配分できるのではないか。

……ということを考える、お盆のさなか。

 

 

 

 

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