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森と林業の本

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2020/09/18

法隆寺の柱の傷、を見る

9月下旬とは思えない暑さの日、法隆寺を訪れた。

法隆寺は我が家から近くて、よく前を車で通るが、実は中に入っての参拝はここ数十年行っていない。記憶のあるのは30年ぐらい前?
いやあ、そんなモンですよ(^^;)。

で、まさに久しぶりに訪れたのだが、やっぱり閑散としているなあ。ごった返すイメージだった観光客がいない。土産物店の駐車場に入れたが、何か買い物したら駐車料金は無料だよ。寺の真ん前に停めて、これは有り難い。

というわけで、南門をくぐる。参拝料は1500円と多少張るが、広大な境内の施設をみんな見られると思えば悪くない。(若草伽藍は見られなかったんだけどねえ。。。。)

Dsc05522

やっぱり、これでしょ。五重塔と金堂。どちらも国宝で現存する日本最古の木造建築物。ほかの建物もほぼみんな国宝か重文指定だ。

とにかく境内が空いている。数少ない修学旅行生を引き連れた観光ガイドが、「こんなに静かに見られることなんか、これまでなかったんですよ。チャンスです!」と叫んでいる(笑)。実際、写真を撮るにしても、ほぼ人が入らないアングルで撮れるのは、まず普通の時間帯ではない。しかも、各所でお坊さんに話しかけるチャンスも多いので、いろいろ聞き出すこともできる。

皆さん、お勧めですよ! 奈良の観光地は、本来静かな環境で悠久の時間を感じるようにしないと魅力は伝わらないと思っているのだが、それを実現するには、地元に泊まって早朝歩くしかなかった。その場合は中には入れないのだが……。

で、私の目的はこんなもの。

Photo_20200918214001

これが1300年前の木材だ。直径80㎝以上あるが、芯去り材、そして辺材は削ったのだろうから、原木の直径は、おそらく2~2・5メートルはあったのだろう。ほかにも幅が一メートル以上の一枚板のヒノキもあった。そんな木材が調達できた時代だったのだ。

ただ、よくよく見てほしいのは、この柱のそこかしこに修繕の痕があること。満身創痍とでもいえるほど、各所を抉って埋め木している。この修繕の痕を見たかったのだ(⌒ー⌒)。腐ったのか、何らかの傷があったのか。柱の傷は〇〇〇年前の~♪。
実は法隆寺全体がそんな状態で、五重塔も部材はかなり入れ換えている。おそらく創建時のものは3分の2くらいだという。最期の修理は昭和に行っているから、わりと新しい木も混ざっているはずだ。なかには樹種が違うんでないの?と思わせる埋め木もある。

ほかにも建物によっては円柱ではなく角柱もあって、よく見れば鎌倉時代の建築だったり。建築様式の時代の差も気づけるよ。

かくして堪能(……というには時間が足りない。とにかく広い)して、元の土産物屋にもどり、ソフトクリームをいただく。

Photo_20200918214701

これ、柿ソフト。奈良特産である。これが駐車料金か。何かお土産買って帰ろうかなあ。。。

 

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コメント

以前福岡伸一先生の講演を聴いて、「法隆寺と伊勢神宮は、どちらが生命に近いか」という話題になりました。先生によると、20年に一回建て替える伊勢神宮より、少しずつ修繕を繰り返している法隆寺のほうがより生命的(動的平衡)ということで、先生の話に妙に関心したことがあります。生命に近いから、建物も長続きする。昨今のコンクリート建築物は100年保たせることさえ難しい。
今回は、その講演の実証を見せていただいた感じがして、大変興味深かったです。
https://theacademia.com/articles/otonalesson08

建築物を生命体と比するとは、福岡先生独特の発想(笑)。

たしかに動的平衡論を持ち込むと、素材はどんどん入れ代わっても(生命体・建築物の)アイデンティティは変わらないのでしょう。一気に全部入れ換える、つまり建て直せば、そこで連続性は途切れる。
では、なぜ法隆寺が1300年以上も生き長らえたのかと考えたら、「この寺を残したい、存在してほしい」という人々の思いのおかげでしょうか。

法隆寺

塚本啓祥

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